みんな大好きレゴブロック、犯罪者にとっても「宝の山」
とくに盗まれる商品
具体的な数字を入手するのは困難だが、専門家によればレゴセットは窃盗の被害に遭いやすい小売商品トップ10圏内の常連だという。他はブランドもののジーンズやハンドバック、デザイナーものの靴、オレイ社のスキンケア製品やアップル社の製品などだ。 「レゴは唯一無二のブランドだ。絶えず新製品を発表し、ポップカルチャーとのタイアップや特別版の商品でつねに話題に上っている」と語るのは、フロリダ大学で犯罪学を研究するリード・ヘイズ氏だ。ウォルマートやターゲット、ホームデポ、ギャップなどが加盟する「ロス・プリベンション・リサーチ・カウンシル(LPRC)」のディレクターも務めている。 ヘイズ氏によれば、ヘイズ氏のチームはレゴ商品を扱う多数の小売店やレゴランドと提携している。「レゴの需要は安定している」 結果として、盗まれたレゴ製品を売買する場だけでなく、とくにインターネットでは偽造レゴを取引する場も出没し始めている。 カンザス州ウィチタの警察署で窃盗犯罪局を率いるケイシー・スローター警部は、レゴ犯罪を知り尽くしている人物だ。 「我々の管轄でもレゴの玩具はよく盗まれる商品のひとつだ」とスローター氏はCNNに語った。「同社の商品を扱う小売店はみなレゴ窃盗に狙われやすいが、中古レゴを転売する専門中古販売店もいくつか出てきている。そういった店も標的にされている」 レゴを狙った窃盗犯は楽に稼げると警部は言う。「盗まれてから追跡するのは困難だ」 ウィチタ警察署から提供されたデータによると、2024年1月8日から5月7日にかけて同署が捜査したレゴを狙った窃盗事件は19件。データを見ると、「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といった映画にちなんだレゴ製品などが盗まれていた。 CNNがレゴ社にコメントを求めたところ、同社のウェブサイトを案内された。そこには消費者向けに、偽オンラインショップや偽造レゴの見分け方が記載されていた。 カリフォルニア州では4月以降、数軒のBricks & Minifigsが窃盗に遭った。 ロサンゼルス郡保安官事務所で組織犯罪局を率いるカルビン・マー警部はズニガさんの店舗の強盗について、「おそらくレゴに的を絞った盗みはこれで4~5度目だ。30秒から1分と、あっという間に盗まれる」とCNNとのインタビューで語った。 「防犯カメラを見たところ、犯人は特定のレゴセットを狙っているのが分かる。犯人は獲物をしっかり把握していた。希少価値の高い高価なセット、レアものやコレクターズアイテムだった」(マー警部) CNNの取材で強盗について語るズニガさんは、感情をあらわにした。 強盗に遭った当日、ズニガさんは店内を掃除した後、シャワーを浴びに帰宅した。 「店に戻ってから、困った時に駆けつけて助け合う救助信号を近隣地域に出した」とズニガさん。駆けつけた顧客の中には自分のレゴセットを寄贈する人もいた。ズニガさんは地元のターゲットで売っていたレゴセットを購入し、空になった陳列棚を埋めた。 「午前9時、朝一番に来店したのは高価なレゴセットを作っている71歳の顧客だった」。ズニガさんはすすり泣き、声を震わせながら当時を振り返った。「地元では有名なレゴ愛好家だ。彼もまた涙を浮かべていた」