英国、2035年までに温室効果ガス(GHG)排出量を1990年比「81%削減」へ
記事のポイント①英首相は11月12日、COP29で2035年までにGHG排出量の「81%削減」を表明した②アゼルバイジャンで開催中のCOP29の2日目で野心的な目標を示した③英国は9月末に同国の石炭火力発電所を閉鎖、2030年に電力の脱炭素化を掲げる
英国のスターマー首相は11月12日、アゼルバイジャンで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で、同国の新たな温室効果ガス削減目標として、2035年までに1990年比で81%削減すると表明した。この新目標はパリ協定の「1.5℃目標」に整合する目標だ。英国は今年9月末に同国最後の石炭火力発電所を閉鎖し、2030年までに電力の脱炭素化を掲げる。(オルタナ副編集長=池田 真隆) 今回のCOP29は国際政治が動揺する中で開幕を迎えた。来年1月20日に大統領に就任する米国のトランプ次期大統領は、パリ協定からの再離脱を表明済みだ。 そんな中、スターマー首相は2日目を迎えたCOP29で、この新目標を打ち出した。各国が国連に提出するNDC(国別の削減目標)の提出期限は来年2月だ。他国に先駆け、3カ月前に野心的な目標を示した形だ。 この新目標は、英国の気候変動委員会の勧告に基づくもので、パリ協定で定めた1.5℃目標に整合する。 1.5℃目標とは、産業革命前と比べて世界の平均気温の上昇幅を1.5℃未満に抑える国際目標だ。COPではこの1.5℃目標の達成に向けた進捗状況などを各国で話し合う。 COP29に現地入りした、国際環境NGO 350.orgの伊与田昌慶・ジャパン・キャンペーナーは、「この新目標は、動揺する国際政治において、気候危機を止めるための行動が前進し続けていることを再確認させるものだ」と話した。 英国は今年9月、国内最後の石炭火力発電所を閉鎖した。1990年から2022年にかけてGHG排出量の50%削減を達成している。