夏の甲子園優勝予想 気鋭の記者5人が占う波乱の大会の行方 神奈川県勢連覇? 青森県勢初優勝?
田尻賢誉氏(ライター)優勝予想:京都国際 41試合終了時点で本塁打数は6本のみ(2023年は23本、2022年は21本=48試合、以下同)、1イニング5得点以上入ったのはわずか1回(23年15回、22年14回)。低反発バットの影響による投高打低の大会となっている今夏の第106回選手権大会。優勝を狙ううえで重要になるのはやはり、失点を計算できるかどうかが第一になる。 その意味で、もっとも安定しているといえるのが京都国際だろう。投手は左腕の二枚看板。背番号11の2年生・西村一毅が2回戦の新潟産大付戦で3安打完封すると、エース・中崎琉生も3回戦の西日本短大付(福岡)戦で14奪三振完封。 守備は3試合で3失策だが、鍛えられており、大量失点の不安はほとんどない。打撃陣も3試合連続2ケタ安打でチーム打率.377と好調。16安打で4点しか取れなかった西日本短大付のように3試合連続2ケタ残塁を記録しているのが気がかりだが、逆方向への打撃を継続できれば得点力も上がるはずだ。 神村学園は3試合1失策と守備が安定。1、2回戦で連続完投したエースの左腕・今村拓未に加え、3回戦では2年生右腕・早瀬朔が完投。今後の投手起用に幅ができた。打線も大振りをせず、つなぐ意識は8強のなかでも1、2を争う。 気がかりなのはふたりで27イニング14四死球を与えている投手陣の制球力と13打数1安打と不振の4番・正林輝大。失点の原因になり、球数が増える無駄な四死球を減らし、悩める主砲が目覚めることができるか。 この2校は1回戦からの登場。コロナ明けの過去3年は2回戦からの登場チームが優勝している。該当校で戦力がもっとも充実しているのが東海大相模。198センチの大型左腕・藤田琉生はナックルカーブが武器。突然制球が乱れるイニングがあるのが不安要素だが、そこでいかに踏ん張れるか。初戦では本調子ではなかった2年生右腕・福田拓翔の復調は絶対条件になる。打線は8打数5安打と好調の中村龍之介を中心に2試合で9長打とパワーがある。 青森山田はくじ運にも恵まれ、投手陣が最も疲労していない状態で準々決勝以降に臨める。力むと制球が乱れる傾向があるエース・関浩一郎がいかに冷静に投げられるか。打線は佐藤洸史郎、原田純希のふたりが本塁打を記録。チームカラーとして乗ると強く、青森大会から劣勢を経験していないのが唯一の不安というほどノリノリで来ている。 昨年はセンバツ出場かつ、2回戦から登場の慶応義塾が優勝。2年連続そのパターンになるか注目だ。