県立高校再編 現在の34校を14年後までに20校程度に 県教育委員会が方針
富山テレビ放送
県教育委員会が先週、県立高校再に向け、大胆な方針を示しました。 その方針とは、現在の34校を14年後の2038年度までに20校程度にするものです。 急激に進む人口減少に伴い、生徒数が減る状況での方針ですが、極端な高校削減に異論も出ています。 11月20日に開かれた県総合教育会議。 *県教委の担当者 「1学校あたりの平均募集定員が現在より少し多い200~250人程度に設定し、学校数は全体として20校程度を見込んでいる」 この場で、県教育委員会が、示したのが、現在、34ある全日制の県立高校を今後、段階的に減らし、14年後の2038年度までに20校程度にする方針でした。 これに伴い、県教委は1学年400人から480人とする「大規模校」の設置を目指します。 大規模校は、多様な進路希望を持つ生徒を集め、他者と協働する力を育むのが狙いで県内に2校から3校設置し、新たな校舎を建てる方針です。 また、1学年200人から240人の中規模校は13校から15校設け、基本的にいまの校舎を活用します。 1学年120人以下の小規模校は生徒の通学時間を考慮し、3校から4校とします。 学科構成については普通科系の学科を細分化し、探究活動を充実させる学科や、グローバル教育やスポーツ、芸術に特化した学科、地域の企業などと連携し独自性のある教育を実践する学科などを地域ごとにバランス良く配置することにしています。 会議では、この方針がおおむね了承されました。 県教委は今後、現役の教職員や高校生から意見を募り、今年度内に14年後の高校の姿をまとめた基本方針を策定します。 県立高校「20校」となることに、現役の高校生は… *高校生 「受験する人の選択肢が縮まってかわいそう」 *高校生 「少なすぎる。母校は残したい」 *高校生 「(高校は)多いほうがいい。遠いところから通っていて、高校が減るとそういう人が増える」 大規模校については… *高校生 「通ってみたい。人が多いと楽しそう。賑やかそう」 *高校生 「人が多い分、行事とかが盛り上がると思う」 *高校生 「一人一人との関りが薄くなるのかな。顔も知らない人も出てくるのかな」 *高校生 「将来の夢がない。職業を知れる機会がもっとあればいい」 長年、県立高校の教師を勤め、県教委に赴任した際は、第1期高校再編を担当した富山大学大学院の林誠一教授です。 20校への削減案は評価できると話します。 *富山大学大学院 林誠一教授 「第一期、第二期の再編では、とにかく数合わせで学校規模を小さくしていった経緯がある。これが限界にきている。子どもは学びたいところに行こうと思うはず。もちろん距離的なところもあると思うが、学びたい場をつくる方が大事」 大規模校の新設は。 *富山大学大学院 林誠一教授 「大規模校は新築などが予定されている。これまではほとんどの場合、大規模校に小規模校がくっつくことが多かった。新しい学校をお金をかけて環境を整えて魅力ある学校づくりを進めたいという思いがある」 県立高校の再編を巡っては、来年度から、具体的な高校をあげ、再編の議論が本格化する見通しです。 再編対象校の基準は、「1学年4学級未満または160人未満」となっていて、該当校をもつ自治体は、慎重な議論を求める声が出ています。 上市町の中川町長は、「県内の市と町には必ず1校残すべき」とした上で上市高校については、「特色ある学校として町内事業者、町、学校と取り組んでいく」とコメントしています。 射水市の夏野市長は「高校が立地する地域性を踏まえ、地元自治体と丁寧な議論を進め子どもたちが多様な選択ができるようにしてほしい」、立山町の舟橋町長は「県議会で、県教委の案の問題点などをしっかり質してほしい」とコメントしています。 その県議会は、自民党会派が今回の案におおむね賛成の姿勢をみせるのに対し、立憲民主党や共産党の会派からは、「20校は極端な減らし方だ」「今より大きな規模の学校は必要なのか」などの声があがり今後、議論が活発化しそうです。 県立高校の再編をめぐっては2010年に5校2020年に4校とこの14年間で9校減りました。 そして、今回、県教委はさらに大胆な再編統合が必要だとし、今後14年間で、14校ほど減らしてはどうかとの案を示しました。 その前提としているのが、生徒の減少です。 2038年に中学を卒業する生徒、いま1歳の子どもの数ですが、6000人を下回る見通しで、20年前の半分近くに減ります。 今後の議論の行方です。 来年1月に開かれる次回の会議で5年後や10年後の高校の規模について意見が交わされ、3月までに基本計画がまとまる予定です。 県は3年後、2027年度以降の県立高校の再編について議論を進めていて、来年度からは今回の案を土台に、具体的な高校をあげて、検討を始めます。 行政や学校現場だけでなく、地域住民を巻き込んだ議論が求められます。
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