VTuberは「まだ世間に浸透しているとは感じない」 「ホロライブ」カバー社長・谷郷元昭氏が描く「2030年」
2Dや3Dのアバターを使って動画を配信する「VTuber」。いまやエンタメ界をリードする存在になりつつあるが、その活躍は海外にも及んでいる。人気の高まりの背景、VTuberの未来とは──。AERA 2024年12月16日号より。 ミルキーやペコちゃんをイメージした衣装を着た「兎田ぺこら」はコチラ * * * VTuberの活躍は、国内だけにとどまらない。今年7月には、ロサンゼルス・ドジャースの球場に、ホロライブプロダクションに所属する星街(ほしまち)すいせいさん、兎田(うさだ)ぺこらさん、がうる・ぐらさんが現れた。星街さんらは、試合開始アナウンスやエールビデオの放送のほか、7回裏に行われる「Take Me Out to The Ball Game」歌唱にも参加した。 ■世界に通用する存在 「海外進出には予想外に時間がかかりました」 そう話すのは、ホロライブプロダクションを運営するカバー社長の谷郷元昭さんだ。谷郷さんは、17年に同社初のバーチャルアイドル「ときのそら」がデビューしたときから、海外市場への勝機を感じていたという。 「17LIVEというアプリで配信すると、国内外あわせて数万人の方が視聴してくださった。それを見て、VTuberは世界で通用する存在になると思いました」 だが、その後コロナ禍が到来。ステイホーム需要でライブ配信の視聴者は増えたが、谷郷さんはオフラインの接点も重要だと考えていた。 「基本的にはオンラインでファンになっていただく機会が多いと思いますが、タレントを直接現場で応援したり、同じタレントを応援するファン同士でのつながりを感じたりといった、オフラインならではの楽しさもあります。タレントとファン、ファン同士の接点を増やす場として、オフラインにも価値があると考えています」 コロナ禍が落ち着いてからは、ライブ興行やリアルイベントも積極的に開催。23年には女性VTuberグループ「ホロライブEnglish」による初ライブを米ロサンゼルスで開催。24年には、初の海外拠点「COVER USA」を北米に設立し、グローバル展開を推進している。 人気の高まりの背景には、世界中でアニメ市場が伸びていることもある。日本総研の調査では、12年に1.3兆円だった市場は22年に2.9兆円にまで拡大。世界中でアニメを見る人が増えるなかで、アニメキャラクターがリアルで生きているかのような表現ができるVTuberはひときわ存在感を放つ。