学校に行かない「ホームスクール」とは? 選択した親が語る理由と課題
学校に行かないことは「ドロップアウトじゃない」
――お二人はなぜホームスクールを選んだのでしょう 北本 長男は、最初学校に通っていたのですが、行かないと言い出して、そこからですね。1年生のときから勉強ができたので、どんどん自分のペースでやっていきたい。でも学校は、どうしてもできない子のスピードに合わせてしまうので、自分が学びたいのに、ずっとその場でストップしないといけない。「自分なりに家で勉強する」って言ったので、行かないことにしました。学校現場ではどうしても全体よりできる子がいたときにフォローが難しい現状があります。 次女は場面緘黙症(話す能力はあるが特定の場面では会話ができなくなる症状)で、教育機会は学校にないと判断して入学前から先生と相談してホームスクールをすることにしました。 佐々木 長男は、保育園の運動会や学芸会で、練習を熱心にやらされたりすると耐えられないようで、夜中に吐くといった症状が出ちゃったんです。何かを自分のペースじゃなく、大人から強いられるとものすごくストレスになるというのが傾向としてみえていたのが理由の一つです。二つ目は自分のペースで勉強すると、興味があるものはものすごく進むんです。本が好きなんですが、「ずっと本を読んでいたい」と言われたので、環境をつくってあげた。 日本でホームスクールをやるためには、本人が行くのを嫌がっているというのが条件になっている現状がある。「親の都合で行かせてないだけ」と思われないためにはこういった「理由」は必要なのですが、教育方針・親としての意志としても、メインは集団教育ではない方法で学ばせたいというところなんです。 ホームスクールを選択していると、分類としては不登校になることもあって、落ちこぼれというイメージで見られがちですが、僕にとっては「積極的な離脱」なんです。一世代前の留学で考えると分かりやすいと思うんですが、日本で勉強しているだけじゃなくて、日本の教育から飛び出して海外で勉強しましょう、というのは、最初は反対されることも多かった。僕も留学経験者ですが、今は他の人と違うことをやって良かったと思っています。 それを日本の国内でやるために、日本の教育システムから離脱するということなんです。離脱した時間をうまく利用して、積極性とか主体性、創造性をはぐくんでいくのが一番の目的。一つの選択肢として学校を見ています。学校という選択よりこっちのほうがうちの子にはいいかなっていう。塾選びと同じですね。こっちの塾に行くよりこっちの塾に行きたいとか、サッカーをやらせるより野球をやらせたいとか、そういう感覚です。 北本 ホームスクールがよくてホームスクールを選んだ、っていうほうが強いと思いますね。不登校の子どもは大勢いますが、これまでは不登校の受け皿=ホームスクールというイメージだった。佐々木さんもうちもそうですけど、最初からホームスクールを選択するケースって、今後も増えていくんじゃないかなって思っています