トランプ次期大統領の「お友達」を取締役に迎えたメタ社、ファクトチェックを廃止したSNSは「フェイクまみれ」に成り果てるか?
メタ社がフェイスブックやインスタグラムなどでおこなってきた、投稿内容の第三者による事実確認(ファクトチェック)を廃止すると発表した。 「鳥は国民を監視するために政府がつくったドローンだ」という陰謀論がZ世代に広がっているワケ マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、ファクトチェックが「過剰な検閲」につながっていたと指摘し、メタが「表現の自由に関する原点に立ち返る時が来た」と語った。今後は専門のファクトチェッカーに頼るのではなく、Xが運用している「コミュニティノート」を採用する予定だという。 コミュニティノートとは、イーロン・マスクがツイッター社を買収してからXに実装された仕組みだ。他者が投稿したコンテンツに対し、ユーザーが「誤解を招く」と判断した場合、訂正を追記できるシステムになっている。
トランプ政権に備えるメタ
メタはファクトチェックに長らく投資してきたが、タイムによれば、多くの共和党員がこの方針は「右派の思想を不当に抑圧している」と批判してきた。 そして大統領選で勝利したことを受け、メタ社はトランプに100万ドル(約1億5800万円)もの寄付をしている。また、共和党の有力者あるジョエル・カプランが同社のグローバルポリシー責任者に昇格し、米メディア「アクシオス」によれば「トランプの親しい友人」である共和党支持者のダナ・ホワイトなどが取締役に迎えられた。
どんなファクトチェックをしていたの?
メタは2016年からこれまで、独立した第三者によるファクトチェックプログラムを運用してきた。フェイスブックやインスタグラム、スレッズなどを利用する30億人以上のユーザーに、誤情報が広がるのを防ぐことを目的としたものだ。 国際メディア「カンバセーション」によると、同社は「ロイター・ファクトチェック、オーストラリア通信、フランス通信社、ポリティファクトなどのファクトチェックを専門とした機関」に資金を提供し、プラットフォームに投稿された問題のあるコンテンツの信憑性を独自に評価していた。不正確、あるいは誤解を招くと判断されたコンテンツには「警告ラベル」が付けられるという仕組みだった。 カンバセーションによれば、こうした警告ラベルが「誤情報の拡散を効果的に遅らせていたこと」が多くの研究から実証されているという。たとえば新型コロナのパンデミックが起きた際には、このファクトチェックの有用性がフェイスブックで実証された。ウイルスやワクチンに関する多くの誤情報やフェイクを、抑制するのに役立っていたのだ。
COURRiER Japon