【元宝塚トップスター・大空ゆうひさん】「退団後は出家を考えたほどでした(笑)」|美ST
退団後もさまざまなフィールドで活躍し、輝き続ける宝塚OG。その美しさの秘密を、宝塚仕込みの“素化粧”から紐解きます。今回は元宙組トップスターでジャンルを超えた舞台で存在感を放つ大空ゆうひさん。退団後、男役から女優への転換に苦労したという大空さんがたどり着いた美しい年齢の重ね方。ビューティから五感を研ぎ澄ます趣味までを語ります。
逆境は一種の挑戦状。よし、やってやろう!と力が湧く
■お話を伺ったのは……大空ゆうひさん 《Profile》 東京都出身。母の影響で宝塚を見始めファンに。背が高かったこともあり、周りから受験をすすめられ短い準備期間で合格。1992年に78期生として入団し初舞台後、月組に配属。クールな魅力と確かな演技力が注目を集める。2008年花組に組替え。翌年宙組に組替えしトップスターに就任。2012年『華やかなりし日々/クライマックス-Cry-Max-』で退団後、幅広いジャンルの舞台で演技派女優として活躍中。5月6日まで『ハザカイキ』、6月には串田和美脚色・演出・美術『あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た』と舞台出演が続く。
―宝塚では組替えを経て宙組トップスターに。転機となった作品は?
大空:単独主演の『THE LAST PARTY』で演じたスコット・フィッツジェラルド役です。どっぷり芝居にはまった初めての経験でした。もっと芝居をしたい、もっといろいろな役をやってみたいという欲を引き出してくれた作品です。
―そこでさらに上を目指すスイッチが入ったのでしょうか?
大空:純粋に好きな芝居をもっとしたいという気持ちでした。でもその後月組から花組への組替えのお話をいただいて。月組が13年間と長かったので、正直驚きました。わずか1年でしたけど、花組で吸収できたものはすごく大きかった。それまでショーは核になるものが見つかってなかったんです。その最後のピースが揃った感覚がありました。あの時期があったからトップのお話をいただけたのかなと思っています。
―それまでの苦労が報われたという感覚ですか?
大空:宙組に組替えになっていきなりトップ、というのはさらなる試練でした。同期も皆退団してしまった後で、ほとんど知り合いもいなくて不安だらけ。でも逆境でこそ力が湧くという経験をしていたので、これは一種の挑戦状だ、よし、やってやろう!と。宙組は5組の中では新しい組で、組のカラーもさまざまな個性が集まっていて、柔軟性がありました。だから急に飛び込んできた私のことも温かく迎えてくれて、私にとって最高に居心地のよい組でした。