岐阜・高山 観光バス駐車不可 「古い町並」の安全確保へ
岐阜県高山市は、観光客や車両の通行が集中する「古い町並」周辺の道路で安全で快適に歩行できる空間を確保するため、古い町並近くの駐車場1か所で観光バスの利用を不可とする実証実験を15日から始める。7月末まで行い、効果や影響などを調べて対策につなげることにしている。 観光客数がコロナ禍前に戻りつつある高山市は、人や車が市の中心街に集中しやすい。特に人気観光スポットの古い町並の周辺や中橋では観光客が道路にはみ出して歩いたり、写真を撮ったりし、大型の観光バスが人に接近しながら走行する場面も見られる。 安全面で懸念される事態になっていることから、市が飛騨・高山観光コンベンション協会、高山商工会議所と協力。観光バスの流入抑制を図り、その結果生じる効果や影響を調査し、検証する実証実験を行うことを決めた。 観光バスをとめられる市街地の駐車場は、市営駐車場4か所、民営駐車場1か所の計5か所ある。このうち、古い町並や中橋に近い「市営神明駐車場」につながる道路幅は約7メートルで、大型車両がギリギリすれ違える状態になっている。 そこで、実証実験では同駐車場のバス区画17台分を普通車区画約40台分に変更し、バスの駐車を不可とする。同駐車場周辺の道路6か所に交通誘導員を配置し、観光バスには入庫できないことを伝えて別の駐車場を案内する。既にバス事業者団体などを通じて、実証実験を通知しているという。 実証実験の期間は、当初の案では6~8月の3か月間だった。しかし、「バスが来ないと人の流れが大きく変わってしまう」などと不安を抱く周辺の小売業者に配慮し、15日から7月31日までの47日間に短縮した。 市は、バスの動線が変わることによる中心市街地の人流の変化、観光にかかわる店舗への影響を調査し、観光客や市民の意識に関するアンケートなども実施する。担当する市都市計画課の大下雅己課長は「魅力あるまちづくりを進めるため、実証実験を通じて取り組みの有効性を確認したり課題を洗い出したりし、必要な対策を検討していきたい」と話している。