保護猫の半数近くが殺処分…譲渡で救われる命も “不幸な猫”を減らすため「正しい飼い方を」【宮城発】
知ってほしい譲渡事業
殺処分を減らすために力を入れているのが譲渡事業だ。去年11月に仙台市動物管理センターで保護猫を引き取った家庭を訪ねると、2匹の猫が出迎えてくれた。 好奇心旺盛な「ちとせ」とおっとりした性格の「みこと」。見た目も性格も違うが兄弟猫だという。生後10日ほどで保護され、高田淳さん頌子さん夫妻に引き取られた。名前には「長生きするように」という願いを込めたという。 頌子さんが実家で保護猫を飼っていたこともあり、保護猫を引き取りたいと考えたという夫妻。飼い主が見つからず殺処分になる保護猫が多い現状に心を痛めていたという。「ちとせ」と「みこと」は今、かけがえのない家族になっている。
不幸な猫を増やさないために
殺処分を減らすには譲渡だけでなく、飼い主のいない猫を増やさないことも重要だ。 生後6カ月ほどで子を産めるようになる猫。年に2~3回出産し、1度に4~8匹の子猫が生まれる。仙台市は2020年4月、猫の屋内飼育や不妊去勢手術をするよう飼い主に求める「人と猫との共生に関する条例」を施行した。 条例では飼い主の責任だけでなく、市民に対しても、野良猫へ無責任に餌を与えないよう求め、不妊去勢手術をして地域で管理する「地域猫」に移行させるよう努めるとしている。
大切なことは責任を持つこと
仙台市内では殺処分とは別に、年間1500匹以上の飼い主不明の猫が交通事故などで死んでいる。 野良猫だけでなく屋外で飼われていた猫も含まれているとみられ、条例で努力義務としている屋内飼育が守られていない状況も透けて見える。不幸な猫を増やさないために、動物管理センターは保護猫の譲渡事業を多くの人に知ってもらうとともに、正しい飼い方をするよう呼びかけている。 仙台市動物管理センター釜谷大輔所長 「センターにも自分が飼える猫がいることを1つの選択肢として知ってもらいたい。また、すでに飼っている人は最後まで責任を持って大切に飼ってほしい。飼い猫を外に出さないで屋内で飼い、避妊去勢手術もしっかり行ってもらいたい」 ともに暮らす命に、最後まで責任を持つこと。当たり前のことが今、求められている。