飛んで火に“炒る”夏の虫?長野県産カイコ入りポップコーン発売に見る、信州に昆虫食文化が根付いている理由
■ 昆虫食ポップコーンに期待 そして今年4月に発売されたのが「飛んで火に炒る夏の虫」。まず商品名に拍手です。ポップコーンとカイコ蛹のコラボも博報堂ならではの斬新なアイデアだと思いました。親子でも友人仲間でも、戸外でも室内でも、だれでもどこでも楽しめる時間と空間を共有でき、そこでは昆虫を食べたことがない人も好奇心を掻き立てられるに違いありません。 味付けに黒コショウを効かせることで、カイコ蛹独特のニオイがマスキングされ、しかも乾燥してサクサクした食感がコーンと一体化し、そのため心理学でいう雑食動物の抱く「新奇性恐怖」が薄らぎ、昆虫食の敷居を低くしてくれています。 「一度は昆虫を食べたことがある人」「その時にポジティブな感想を持った人」を増やしていくことが重要との目的に十分かなっているように感じました。カイコのほかにも様々な昆虫を入れることができそうです。 筆者もこれぞという虫を入れてシャカシャカ手鍋を振ってみたい誘惑にかられます。これからも昆虫食王国の名に恥じぬよう伝統を引きついで、未来に向けて新たな昆虫食品を生み出していってほしいと願っています。 参考文献:長野県上伊那地域振興局「信州伊那谷のおいしい昆虫」(2019年3月) (編集協力:春燈社 小西眞由美)
内山 昭一