パチンコ店駐車場で死んでいく子供たち! 「灼熱地獄」に放置され続ける現実、こんな蛮行はいつまで繰り返されるのか
社会的対策の必要性
日中が暑くなるこれからの時期、注意すべきことのひとつに「子どもの車内放置」がある。全国のパチンコホール営業者の業界団体である全日遊技事業協同組合連合会(全日遊連)は、「子どもの車内放置撲滅」を目指し、次の対策を実施している。 【画像】これが「蛮行」だ!(計8枚) ・子どもお断りの掲示・周知を徹底する(ポスター、看板、チラシ等) ・会場内を気温に応じて最低1時間ごとに巡回点検し、アナウンスを行う ・車内を目視点検し、良好な状態であることを確認する ・スモークガラス、黒色フィルム、チャイルドシートのある車両に特に注意する ・車内放置が疑われる場合は警察に連絡する これらの業界全体での取り組みにより、2018年の2件を最後に、死亡事故は報告されていない。未然防止の件数も2019年の99件から2023年には28件に減少した。 コロナ禍前後の比較であるが、遊技場が1万件から7000件(遊技通信)、出生数が87万人から77万人(人口動態統計)など、関連統計を加味しても報告件数が減少している。その一方、未然防止の28件には、 ・「これくらい大丈夫」と認識した事例 ・悪質性により警察に引き渡した事例 などが含まれている。また、過去には「子どもの存在自体を忘れた事例」もあり、引き続き注意が必要だ。これに対処するためには、個々のケースに適した対策を講じるとともに、遊技場だけでなく、商業施設全体に社会的な対策を展開する必要がある。 したがって、本稿では「車内放置の事例」を分析し、全日遊連の対策を全商業施設に拡大する意義についても検討する。 ダッシュボードの温度は「最高70度」になる場合もある。もはや灼熱地獄なのだ。
車内放置の実態
実際のケースを紹介しよう。気温は25度、2~3歳の男児が放置されていた事例である。 従業員が駐車場を巡回中、エンジンとエアコンをかけたまま車内で寝ている男児を発見した。父親は3分後に戻り、謝って店を出た。父親はトイレに行っていたと釈明したが、パチスロをしていたことがカメラで確認された。 上記はエアコンが効いていれば安全という認識だが、危険である。実際、長崎県雲仙市では2018年、5歳の男児がエアコンをつけたまま車内に1時間半放置され、中度の熱中症で病院に搬送された。 この事例では、「クーラーをつけても危険、虐待通報の可能性」というポスターが広報対策として有効だ。 次の事例では、気温23度、生後4か月の乳児が放置されていた。 ホールの立体駐車場で子どもの泣き声を聞いた客が、駐車中の車内(エンジン、エアコン停止)に乳児がいるのを発見し、店内で呼び出しを行った。5分後、保護者が車に戻り、子どもを警察に身柄を引き渡した。保護者は警察に「コインランドリーを待っている間で、景品交換に来ただけ」といったが、実際は遊技をしていた。 2020年の日本自動車連盟(JAF)のリポートによれば、子どもを車内に放置すると、「日陰に駐車しても温度差は7度、15分後には危険水域」となる。実際の数値を示し、児童虐待の可能性を知らせることが効果的だろう。