【漫画家に聞く】美少女怪盗はマジメ警官の心を盗むことができるのか? クオリティが高すぎるラブコメがSNSで公開中
“禁断の関係”はラブストーリーの鉄板だ。本来敵対する関係でありながら、お互いに惹かれ合う……という構図は刺激的で、障壁が大きいほどその思いの深さにときめいてしまう。10月上旬にX(旧ツイッター)上で投稿された読切作品『マジメ警官×美少女怪盗の追いかけっこラブコメ』も、タイトルの通り禁断の関係の2人が織りなすラブコメ漫画だ。 漫画『マジメ警官×美少女怪盗の追いかけっこラブコメ』 へんぴな田舎町に突如現れた怪盗フィクスト・スター。怪盗でありながら盗んだものは全部返す、という謎の行動を繰り返しているスターの真の狙いは、警察のワタルにかまってもらうこと。何よりも盗むことが難しいワタルの心をスターは盗むことができるのだろうか――。 本作を手がけるのは、現在本業漫画家として活動しており、「ゲッサン」「サンデーうぇぶり」で『魔託のヴァルムト』を連載中のウエマツ七司さん(@uemt_74)。数年前に制作したという本作を描いた当時の思い出など、じっくり語ってもらった。(望月悠木) ■デジタルからアナログに移行したタイミング ――『マジメ警官×美少女怪盗の追いかけっこラブコメ』は数年前に制作した作品とのことですが、当時を制作しようと思った当時の状況を教えてください。 ウエマツ:大学の卒業制作として、漫画を描かないと卒業できなかったため描きました。当時は原稿の制作をアナログからデジタルに移行したばかりで、板タブ(ペンタブレット)でイラストを描くようになっていました。ただ、アナログとは勝手が違いすぎて、苦痛で苦痛で泣きながら描いて心が折れかけました。 ――メイン2人のキャラデザはどのように作り上げましたか? ウエマツ:まずトオルは当時映画『グレイテスト・ショーマン』にハマっていて、「ザック・エフロンのちょっと輩っぽいのに気品がある感じが良いな」と思って体型を真似しました。一方、スターはMCU作品に登場するグウェンプールと、アメリカ・チャベスのビジュアルを混ぜくってパクっています。 ――トオルが着ていた制服は海外の警察をモデルにしたのですか? ウエマツ:そうです! 一応イギリスの田舎が舞台となっており、トオルは日系アメリカ人という設定なので制服もそっちに寄せました。今思えば「別にいらない設定だったな」と思っています。 ■男女の描き分け方 ――トオルとスターの表情は、良い意味で同じ作者が描いたと思えないほど、描き分けられていた印象です。 ウエマツ:個人的には、男性キャラは青年漫画寄りの絵柄、女性キャラは萌えアニメ寄りの絵柄が好きだからかもしれません。ひたすら、カッコよくと可愛くを突き詰めたら、こんな感じになりました ――表情で言うと、スターは喜怒哀楽の全ての表情が描かれていました。 ウエマツ:確かに喜怒哀楽が全部出ていましたね。怒っていたり悲しんでいたりしていも、可愛く見えるよう線を少なくしようと意識しました。意識しないと、つい力が入って描き込みすぎてしまうので……。 ――トオルがスターの好意を利用して逮捕しようと画策した時、同僚から「おい今最低なこと考えてんだろ」とツッコむシーンが特に好きでした。 ウエマツ:ありがとうございます! そこのシーンのトオルに対して読者は「その思考回路ヤバくね?」と違和感が出ると思うので、読者の内心よりも強い言葉でツッコめるように意識してこのセリフを選びました。 ――スターを政府側に引き込むというラストで、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』的なラストでした。 ウエマツ:このラストは確かオチをつけたいがために適当につけた感じです。普通に捕まっちゃうのも面白くないし、このまま追いかけっこが続いて進展もありません。スターがせっかく暴走したのに「もったいないな」と思って採用しました。 ――最後に今後の目標など教えてください。 ウエマツ:今は「ゲッサン」と「サンデーうぇぶり」で連載中の『魔託のヴァルムト』を全身全霊、がんばっていく予定です! 1巻が最近発売されました。この作品がなんかの手違いでハリウッド映画化しないかなと思っています。
望月悠木