<スポーツライター藤原史郎の目>広陵戦力分析 打撃・守備編 選球眼と機動力 /広島
背番号3の背中が大きく見える。189センチ、93キロの真鍋慧(2年)は、1年生の夏からクリーンアップを打ち、その期待に応えてきた。新チームで初の全国舞台となる神宮大会では、3試合で2本塁打。高校通算49本塁打とした。 長打力があり出塁率の良い3番に座る真鍋の前には、一発の魅力もある田上夏衣(2年)と出塁率が高い谷本楓太(2年)が並び、4番に主将の小林隼翔(2年)、5番に公式戦4本塁打の只石貫太(1年)が座る。9番の松下水音(2年)は、ヘッドの効いた柔らかい打撃が目を引く好打者。隙(すき)のない打線に見えるが、昨秋の県大会はチーム打率が2割5分4厘と苦しんだ。 それをカバーしたのが選球眼と機動力だ。四死球は県大会5試合で46、中国大会4試合でも30。神宮大会3試合でも21選ぶなど、3大会共に1試合平均7以上を得ている。 ほとんどの選手が走力を兼ね備え、県大会では記録した8盗塁以上に、隙があれば次の塁を狙い、エンドランも多用する多彩な攻撃で1試合平均6得点を挙げた。 中国大会では、打率3割3分、1試合平均9・3得点と上向いた。神宮大会は、全国トップレベルの投手を相手に打率は2割6分7厘と下がったものの、全試合5得点以上を記録した。神宮大会決勝で途切れるまでの新チーム結成以来の50連勝は、投手力と共に、打力と選球眼、走力を絡めた攻撃力があってこその結果である。 主将のショート小林とセカンド松下を中心に、内野は打者と投球に合わせて守備位置を変える守りが好プレーを生み出す。外野は広い守備範囲で打球を処理する。守りの要である捕手は、只石が全試合をほぼ一人で守り抜き、県大会から神宮大会までの12試合で5盗塁しか許していない。1年生ながら内角を突き、緩い変化球を要求し、的を絞らせないリードが光る。 県大会では、準決勝、決勝で共に2失策。内野手がベースを踏まないミスや捕球エラー、外野手の送球ミスなど、広陵らしからぬ失策が出た。中国大会4試合でも内野手が6失策。神宮大会では、決勝で外野手が太陽光で打球を見失う場面があったが、失策の記録は準決勝で内野の1のみと良く守った。 3大会を終えて、高い能力を持つ選手が、課題を見つけて練習に励み、経験値がプラスされた。センバツでは、広陵らしい華麗な堅守を見せてくれると期待している。