「観光客激減で死活問題」「住民に閉塞感」土砂崩れで通行止めの奈良・下北山村で意見交換
奈良県の山下真知事は11日、昨年末に男性1人が犠牲になった土砂崩れに伴う通行止めで、大きな影響が出ている同県下北山村を訪れ、地元関係者らと意見交換した。地元からは一般車両の早期通行再開を願う声が相次ぎ、山下氏は新たに大規模崩壊の予兆が検知できる計測システムを導入し次第、通行再開を検討したいとの見解を示した。 【写真】昨年12月に発生した土砂崩れの現場横に建設中の仮設道路 下北山村では、昨年12月23日に上池原地区で起きた土砂崩れで国道169号が全面通行止めとなった。今年4月に仮橋が完成したものの、より大規模な深層崩壊の恐れがあるとして、当面は緊急車両のみ通行可能とし、一般車両は現在も通行できない状態が続いている。 山下氏はこの日、意見交換会に先立ち土砂崩れ現場を訪れて献花。県職員から復旧状況の説明を受けた後、意見交換会に出席した。 会には南正文村長や村議、区長らと県の担当者ら約40人が出席。リモートで上北山村と川上村の村長や村議らも参加した。「観光客が急減し経営が成り立たない。死活問題だ」などの意見や、「住民に閉塞(へいそく)感が広がっている。工事の進捗(しんちょく)状況をこまめに教えてほしい」との要望が出た。 山下氏は「切実な思いを聞かせていただいた。(崩壊斜面の)監視体制の構築を加速し、新たに導入する予定の計測システムで危険な兆候をつかめる確証が取れたら、通行可能な時期もお示しできるのでは」と述べた。また山下氏は、3村の宿泊代金の半額を割り引く観光支援事業の第2弾を7月1日から開始する予定を発表。6月24日正午から予約の受け付けを始める。 終了後に報道陣の取材に応じた南氏は「169号は唯一の幹線道路で、われわれにとっての命の道。観光業などの存続にも関わることで、一日も早い一般車両の通行規制解除をお願いしたい」と訴えた。