参院自民で新体制発足も参院選に不安 課題は政倫審への対応、旧安倍派は石破首相に不信感
自民党は6日の参院議員特別総会で、体調不良で参院議長を辞任する尾辻秀久氏の後任に関口昌一参院議員会長を推す方針を確認した。関口氏の後任に武見敬三前厚生労働相を充てる人事も了承し、参院自民の新体制が発足した。衆院選大敗で党内に来夏の参院選への不安が広がる中、新執行部には参院選への悪影響を避けるために「政治とカネ」の問題への速やかな対応が求められる。 武見氏は、福岡資麿厚労相が10月に入閣後、空席になっていた参院政審会長に古川俊治氏を指名。松山政司参院幹事長、石井準一参院国対委員長の再任とともに特別総会で了承された。武見氏は所属する麻生派(志公会)を離れる意向を示した。 ■支持高まるよう頑張る 総会後、松山氏は記者団の取材に対し「国民の理解を得た上で、参院選のころには(自民への)支持率が高まるようにがんばりたい」と意気込みを語った。 新執行部が最初に直面するのは、派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治倫理審査会(政倫審)への対応だ。参院は先の通常国会で、不記載事件に関係した議員に対する出席要求を全会一致で議決した。議決の有効期限は決まっておらず、出席しなければ、野党の追及が続くことになる。 石破茂首相(自民総裁)が衆院選で政倫審出席を公認判断の材料とし、参院選でも同様の対応をする考えを示していることもあり、参院自民幹部は「政倫審は年内に決着をつけないと参院選を戦えない」と話す。 ■不満噴出の可能性も 一方、出席を求められた多くが所属する旧安倍派(清和政策研究会)の参院議員は6日、国会内で会合を開き、政倫審への対応などを協議。参院選への影響を考慮し、早期に落着させる方向性を確認した。だが、首相が衆院選直前に急遽、不記載があった候補者を非公認などとしたことへの不信感も根強く、ベテラン議員は「政倫審へ出席後に方針が二転三転しない保証はどこにもない」と漏らす。 これまで自民は水面下で野党に対し、政倫審出席の代わりに弁明書を国会に提出する方法を提案し、一定の理解を得ていた。だが、立憲民主党の斎藤嘉隆参院国対委員長は6日、石井氏との会談で「衆院選の審判は非常に重い」と指摘し、出席を強く求めた。 自民側は臨時国会での政倫審開催は受け入れる方向だが、旧安倍派議員の不満が噴出する可能性もあり、執行部は開催方法などを慎重に検討している。(永井大輔)