2025年お勧めホラー/スリラー8作 豊作24年を上回る? 期待度大
語り口繊細 日本の「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」
スリラー量産国の韓国から届けられる「♯彼女が死んだ」(1月10日公開)、「リボルバー」(2月28日公開)は、対照的なテイストの2作品だ。日本初登場のキム・セフィ監督が手がけた前者は、顧客宅への不法侵入を繰り返す不動産仲介士の青年が、人気インフルエンサーの女性の死体を発見するコミカルなサスペンス劇。そこから始まる二転三転のプロットに、SNSの闇という今どきのモチーフを取り込み、見る者の予測を許さない一作となった。一方、「リボルバー」は「無頼漢 渇いた罪」のオ・スンウク監督とチョン・ドヨンが再び組んだノワールもの。汚職に関わった女性刑事が出所し、服役との引き換えに得られるはずだった報酬を取り戻すために裏社会へと身を投じていく。終始、感情を押し殺したチョン・ドヨンの演技、存在感が冷たい殺気を放っている。 そして日本映画「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」(1月24日公開)は、モキュメンタリー形式のホラードラマとして話題を呼んだ「イシナガキクエを探しています」の近藤亮太監督が撮り上げた商業映画デビュー作。幼い頃に弟が謎の失踪を遂げたトラウマを抱える青年が、母親から送られてきた古いビデオテープを再生したことをきっかけに、忌まわしい過去と向き合っていく。近藤監督が第2回日本ホラー映画大賞を受賞した同名短編のセルフリメーク。長回しショットなどを導入した繊細な語り口で、失踪現象のミステリーの背後に渦巻く怪異を見る者に体感させていく。
映画ライター 高橋諭治