2025年お勧めホラー/スリラー8作 豊作24年を上回る? 期待度大
ニコラス・ケイジここでも怪演「シンパシー・フォー・ザ・デビル」
ニコラス・ケイジのファンは「シンパシー・フォー・ザ・デビル」(2月28日公開)も見逃せない。ここでもケイジが演じるのは素性不明の怪人。病院で出産しようとしている妻のもとに急ぐ会社員を脅迫し、悪夢のような一夜のドライブへと誘う名無しのカージャッカーという役どころだ。ほぼ全編がジョエル・キナマンとの2人芝居で進行し、なぜカージャック犯の男は会社員を脅すのか、両者の間にいかなる因縁があるのかが物語のキモとなる。ひげを蓄え、赤い髪に赤いジャケットをまとったケイジのハイテンションな怪演が映画をけん引し、後半のダイナーのシーンではその場に居合わせた店員や客を巻き込んだ惨劇が勃発する。
北欧、英国、アルゼンチン……各地から
「アンデッド/愛しき者の不在」(1月17日公開)は、「ロングレッグス」と同じくNEONが北米配給を手がけた北欧ホラー。不慮の事故などでこの世を去ったはずの死者が墓場や病院でよみがえり、家族のもとに帰ってくるという話なのだが、本作のアンデッドはゾンビのように暴れたり、生者を襲ったりせず、ただじーっとたたずんでいるだけ。当然ながら家族は、物言わぬ不気味なアンデッドを前にして途方に暮れるばかりだ。そんな状況下にあぶり出される愛のかたち、喪失の悲しみを描き上げたのはノルウェーの新人監督テア・ビスタンダル。「ぼくのエリ 200歳の少女」の原作者ヨン・アイビデ・リンドクビストの小説の映画化でもある。 イギリス映画「ストップモーション」(1月17日公開)は、実写をベースにしながらストップモーションアニメをふんだんに取り入れたユニークな恐怖劇。偉大なアニメーターの娘である若い女性が、脳卒中で昏睡(こんすい)状態に陥った母親の作品を完成させようとするが、撮影現場のスタジオに不思議な少女が現れて……。現実と虚構の境目がじわじわと曖昧になっていく主人公を演じるのは、「スピーク・ノー・イーブル 異常な家族」のアシュリン・フランチオージ。これが長編デビュー作となるロバート・モーガン監督の怪奇幻想趣味が際立つ心理ホラーだ。 「テリファイド」で知られるデミアン・ルグナ監督の「邪悪なるもの」(1月31日公開)は、アルゼンチンの田舎町を舞台にしたオカルトホラー。いわゆる悪魔つきものなのだが、その内容たるや尋常ではない。悪魔に乗っ取られた住民の肉体が腐敗する怪現象が、ウイルスのパンデミックのように拡散していくという前代未聞のストーリー。劇中では悪魔つきに正しく対処すべき古来の七つのルールなるものが示され、それが破られたために主人公の兄弟らはなすすべもなく破滅的な運命をたどることに。物語が進むうちに、終末映画のごとき様相を呈してくる異端的な恐怖映画だ。