クラブワールドカップで決勝進出。フルミネンセのジニス監督が語ったこと
「“勝った人”よりも、“良い人”を称賛したい」
フルミネンセがリベルタドーレス杯優勝を達成した11月4日の2日後のことだ。11月のW杯南米予選に向けて、ジニスがブラジル代表招集メンバー発表会見に臨んだ。優勝の歓喜の直後であり、同時に、すでに代表に向けて頭が切り替わっていたタイミングを生かし、ジニスに質問をした。 「ビッグタイトルを獲得した時には、優勝トロフィーの他に何を得ますか? また、その達成への道のりでは、戦術や選手の技術力の他に何が最も重要なものになりますか?」 というのも、ジニスは近年、常にブラジル屈指の監督とみなされ、メディアからも “将来のブラジル代表監督候補”と言われてきた。そして実際、代行とは言えブラジル代表も指揮している今、長年代表でプレーしている選手たちからも、非常に評判が良い。 ただ、優勝経験となると、監督としての15年の経歴の中で、今年のリオデジャネイロ州選手権が最高レベルだった。それが南米最高峰のタイトルを獲得したのだから、彼にとってどれほど大きな意義を持つものであるかを語ってもらえれば、という意図だった。ジニスの答えは想像とは違い、勝った時だからこそ言える、彼のタイトル哲学だった。 「タイトル達成はとても重要なものだ。誰もがそのために頑張っている。ただ、この機会を生かして、人生を通して考えていることを話したい。(今年のリベルタドーレス杯決勝で)ボカ・ジュニオールは負けたが、失敗したわけじゃない。もしフルミネンセが負けたとしても、失敗とみなすつもりはなかった」 「しかし報道やSNSでは、多くの人が負けた者の欠点ばかりを探して失敗のレッテルを貼ろうとする。そういう文化を変えることにも、僕は貢献したいんだ。我われは、正直に誠実に倫理的に、きちんと仕事をする人を評価するべきだ。より良い人がいつでも勝つとは限らないし、より良い仕事をしたら優勝カップを獲得するとも限らない。そして1位だけが称えられる社会では、数え切れないほどの多くの仕事が、正当ではない残酷な形で過小評価される」 「もしリベルタドーレス杯で優勝していなかったとしても、それなら今、我われは何が問題なのかを見つけようとしているだろう。改善し、進歩するために。それが僕の生き方だったし、これからもそうやって生きていきたい。僕の息子たちにもそうであって欲しい。彼らには良い人間、良い友達、良い息子たちであろうとして欲しい。そして、何かを競う時には、勝つためにベストを尽くして欲しい」 「良くても勝てないことはあるが、僕らにできるのは良くあろうとすることだ。“勝った人”よりも、“良い人”を称賛したい。それがみんなにとって、非常に大事なことだと思うからね」 世界タイトルの行方は22日の決勝を待つことになるが、ジニスとフルミネンセは、タイトルを目指し、そして、“勝つためにベストを尽くし、良くあろうとする”ことができたと思える戦いをするために、ピッチに立つ。