大の里、変化に動じず「目の前の相手に集中」 霧島との大一番制す 大相撲秋場所10日目
○大の里(寄り切り)●霧島(秋場所10日目=17日) 優勝争いの行方を左右する大一番で、大の里は霧島の〝注文〟に見事、対応した。一瞬の攻防に、初土俵から9場所目、24歳の強さが象徴されていた。 霧島は元大関のプライドをかなぐり捨て、立ち合いで左に変わってきたが、大の里は「しっかり集中できていた」と動じない。ぶつかるべき目標を失い、右手を払われても、バランスを崩すことなく、すぐ相手に向き直って右差し、左おっつけ。そのまま何もさせず寄り切った。 取組後、霧島は「本当は変わるつもりはなかった」と言った。連日、圧倒的な出足を見せる大の里に土壇場で気後れしたか。 この日の内容は、大の里には「立ち合い変化」が通用しにくいことも見せつけた。身長192センチと大柄で、頭を下げて当たるタイプではないため視界が良い。審判部の粂川副部長(元小結琴稲妻)は「相手がよく見えているということでしょう。上体ばかりで行ったり、肩に力が入ったりしたら足も出ない」と、速く自在な動きを評価する。 大の里は、唯一、1敗で追いすがっていた霧島に黒星を塗り付け、後続との差を2に広げた。残すは5日。「目の前の相手に集中するだけ。先のことを考えず、明日、頑張ります」。1場所15日制が定着した昭和24年夏場所以降、関脇による全勝優勝は一度もない。気が早い話だが、それを想像させるだけの勢いがある。(宝田将志)