5月から急増するゴキブリ「悪徳駆除業者」に要注意 同業者が明かす“驚きの高額請求手口”
5月は、ゴキブリの活動が活発化する季節。家の中で“G”と出会ってしまった人々からのSOSが急増するため、害虫駆除業者は繁忙期となる。ときにはゴキブリが「大量発生」している過酷な現場にも立ち向かう大変な仕事だが、中にはずさんな作業で高額請求してくる“悪徳業者”もいる。24時間態勢で依頼を受けつける駆除業者「害虫獣SOS」に所属する、若き“Gハンター”に密着し、プロの技や悪徳業者の見分け方などを取材した。 【閲覧注意写真】こ、これがゴキブリの卵⁉ * * * 5月上旬の午後9時。事前に指定された、東京都港区の3階建てアパートの前で待っていると、“Gハンター”こと鈴木聖也さん(29)が現れた。鈴木さんは午後6時~翌朝3時までの夜間シフトを担当しており、このアパートに住む20代男性・Aさんからの駆除依頼を受けてやってきたのだ。 鈴木さんに同行し、部屋に入ると、Aさんが今回のSOSに至った経緯を切々と訴えはじめた。 「昨日トイレからゴキブリがぴょこって出てきて、ネット検索で見つけた別の業者に来てもらったんです。その1匹は駆除してもらったんですけど、その後に、『天井裏にもいっぱいいます』『卵があります』なんて言われて、勝手にトイレや風呂場に薬剤をびしゃびしゃまかれて。おまけに『燻煙(くんえん)剤を使うから2時間外に出ていてください』とか言われて、さすがに断りましたけど、トータルで7万円も請求されたんです。明らかに高いし何か怪しいから、クレジット払いにしました。その後ネットで、悪徳業者の手法を紹介している害虫獣SOSさんのブログを見つけて、まさにこのやり口だ!と。次はちゃんと対策してもらおうと思って、今回依頼しました」
■まさか! 前日の業者が玄関先に…… Aさんの話を聞き終えた鈴木さんは、まずはゴキブリの侵入経路を特定すべく、キッチンやトイレの換気扇、流し台や洗面台の下の水栓周りなどを順番に確認していく。Aさんと費用を相談しつつ、侵入経路の可能性が高い「すき間」を、粘着性のシートやコーキング剤と呼ばれる詰め物でふさいでいった。優先順位が低く、すき間を埋めなかったキッチンの換気扇内には、ベイト剤と呼ばれる毒餌を設置した。 鈴木さんの作業中、ゴキブリの成虫や卵はもちろん、住みついている痕跡も一切見当たらなかった。前日の業者に対して、返金依頼などの行動を起こすのかとAさんに尋ねると、既に策を講じているという。 「クレジット決済のとき、業者がカードリーダーを持っていなくて、代わりにカード番号とセキュリティー番号を聞かれたんです。でも有効期限は聞かれなかったから教えずに、業者が帰った後すぐにカードを止めました。今朝は消費者センターに相談して、クーリングオフすることにしたので、お金はとられずに済みそうです。業者には、『有効期限教えて下さい』ってショートメールで追いかけられてますけど、無視してて……」 そんな話をしていると、突然「ピンポーン」とチャイムが鳴った。インターホンの画面を見て、「あ、まさに昨日の人だ!」とAさん。なんと、代金を回収しそびれた作業員本人が、再び訪ねてきたのだ。 Aさんは玄関で応対し、消費者センターやカード会社に連絡の上クーリングオフすることや、ちょうど別の業者が家にいることを伝えると、作業員は「そうですか……」とそそくさと帰っていった。 一連のやりとりを聞いた鈴木さんは、「この時期(悪徳業者が)増えてくるんですよ」と話しはじめた。