勤務時間を減らしたのに社員がどんどん辞めていく…優秀社員が愛想をつかす"ダメな会社"の残念な共通点
■労働時間を減らすだけでは社員のモチベーションは上がらない 【澤円】「働き方改革」にもある程度評価できる面もあるわけですよね。それでも、やはり「働き方改革」だけでは問題があるということですか? 【越川慎司】「働き方改革」は、もともと長時間労働を抑制するためというのが起点でした。そのため、例えばITを導入するなどして残業をなくすことだけにフォーカスしてしまっている企業がとても多かったのです。 ただ、日本の企業の7割以上は労働集約モデルですから、単純に労働時間を減らすと売り上げも下がってしまいます。そうなると、成果が減ることになり、従業員のモチベーションも同時に低下していきます。つまり、限られた時間で成果を挙げていくことが求められるわけなので、そのために従業員が働きがいを持ち、モチベーションや意欲を高めることが有効なのです。 いま、離職率の高さは大きな社会問題となっています。20代の離職率は高く、厚労省の調査によると新卒入社後3年以内の離職率は約30%です。その解決法はさまざまかと思いますが、「働きがい改革」もそのひとつになり得ると考えます。 ■「隠れ残業」で逆に業務効率が落ちる 【澤円】従業員のためを思って「働き方改革」を進めたのに、結果的には会社にも従業員にもマイナスに働いてしまったというケースがあるのですね。 【越川慎司】「働き方改革」を進める多くの企業は、従業員に「残業をするな」といいつつ「売り上げは上げろ」といいます。するとなにが起きるかというと、オフィス街のカフェが混むのです。会社員たちがオフィスを出てカフェで隠れ残業をするからです。 そうなればどうしても業務効率は落ちますし、「そもそもこんな働き方で自分は成長できるのだろうか?」といった疑問を持ってしまう若手社員が増えているというのが実情です。成長意欲を持っている若手社員には、そのような迷いや悩みではなく働きがいを持ってしっかり成長してもらいたいものです。