日本を代表する長寿番組「NHKのど自慢」の魅力と新戦略
出場経験者が語る「夢の1日」
同番組の主役は、何千通もの応募ハガキから選ばれた出場者たち。日本全国各地のホールなどで開かれているが、放送前日は昼から夜まで予選出場者が本番同様の生バンドで1分弱歌う。これまでに2回本選に出場したことがあるという大阪府内の30代男性は「何千人を前に歌い、放送翌日から1年くらいは『見たよー』と言われるあの感覚はすごい」と振り返る。 男性は20代のころに関西地方で、社会人になってからは赴任先の関東地方で同番組の予選を通過し、本選出場を果たした。いずれも10年以上前だが、未だにあの舞台の感触は忘れられないという。 予選では約250組(予選出場当時)が本番でも弾いている生バンドの演奏にのせて約1分弱歌いました。その後、舞台の目の前に座っている司会のアナウンサー「あなたどんな仕事やってるの?」「こういう趣味があるんだ」と資料を見ながら声をかけてくる場合があるという。 その後、午後6時ごろに番号を呼ばれ発表。会場中はシーンとして緊迫した雰囲気になるけど、呼ばれたら「やったー」という声が多い。あと、場合によっては「明日出られない」という人が出てくると、繰り上がりで呼ばれた人が喜ぶ場面もあったという。 予選通過後は、舞台で本選に向けての音あわせや、控え室でプロデューサーらが面接を行ったり夜遅くまであわただしくすごし、翌日の本番当日は午前8時に集合。その後、歌う順番が発表され、リハーサル中にはゲストが客席で見学するという。「私が出た時は森進一さんや北島三郎さんでしたが、普段着の姿が見られたり。リハーサルの様子も見られるんで、これだけでも出られてよかったと思う」と語る。 また、本番終了まですごす20組同士は、なかなかめぐり合えない仲間ということで結束力が深まり、後に同窓会を行うパターンが多いという。 また「出た後は『見たよー』という連絡で携帯電話やメールが着信しまくって、翌日以降は仕事先で『見たよ』の連続。へたしたら1年くらい言われましたね。これが全国各地で行われているわけですから、出場者のほか街の人たちの思い出に残るのもわかりますね。ある意味あれば『夢の1日』ですよ」と振り返った。