上位3頭の”したたかな心理戦”が火花を散らした淀の舞台。チェルヴィニアの成長力+陣営の盤石プランが牝馬二冠に結実【秋華賞】
ルメール騎手は自画自賛「すべてがプラン通りに進んだ」
チェルヴィニアのクリストフ・ルメール騎手は、「今日はいいポジションが取れて、ずっと自分のペースで走ることができました。ペースが速かったのもちょうど良かった。直線でスペースができたとき、とてもいい反応をしてくれました」と、すべてがプラン通りに進んでの勝利だったことを喜んだ。 チェルヴィニアは春の桜花賞で大敗した際には栗東トレセンに入厩して本番に臨んだが、慣れない環境に落ち着きを欠いていたという。それを考慮して、美浦で追い切ってからの輸送競馬に切り替えた木村調教師の判断もトップトレーナーらしく優れた対応だったと言えるだろう。 レース後、オーナーである(有)サンデーレーシングの吉田俊介代表は、次走はジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m=11月24日)を目標にすることを明言。あらためて強さを見せたオークス馬がどのような戦いをするか興味は尽きない。 春はマイル路線を進んでいたボンドガールは、距離不安への対応として後方を進んで終いの脚に賭けるという武豊騎手の導きに応えて2着に好走した。同騎手は、「やりたい競馬はできた。良い感じで走ってくれました」と満足げにコメント。これからマイル路線に戻れば、古馬相手にもいい競馬ができるだろう。 ステレンボッシュは外枠(14番)とゲートでの出遅れが響き、後方から進んで直線はかなり外を回らざるを得なかった。それでも3着に食い込んだのはポテンシャルの高さあってのことだろう。 最下位に沈んだクイーンズウォークは、ゲートで躓いたところで終わってしまった印象。3コーナーで強引に位置を押し上げたが、直線では手応えをなくしていた。パドックでもややテンションが高かったが、それがこのアクシデントの導火線になっていたのかもしれない。 筆者が推奨したクリスマスパレードとタガノエルピーダはそれぞれ5、7着に終わった。両馬とも先行力を生かして見せ場を作ったが、彼女たちを上回る有力馬には歯が立たなかった。それでも2着のボンドガールと比べると、クリスマスパレードは0秒2差、タガノエルピーダは0秒3差と、そう負けているわけではない。GⅡ、GⅢ戦に出てくれば勝ち負けに加われることだろう。 取材・文●三好達彦
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