争点整理中のスマートデイズ訴訟 司法の場でシェアハウス問題の解明はどこまで進むか
スルガ銀行(静岡県沼津市)の不正融資が第三者委員会の報告によって明らかになったシェアハウス投資をめぐる問題。東京地裁では、シェアハウス「かぼちゃの馬車」オーナーらによって、破綻したスマートデイズ元役員らを相手にした民事訴訟が提起されている。現在、争点整理が行われていて法廷を舞台にした弁論は来年になる見通しのようだが、原告側はスマートデイズ側に共同不法行為があったと主張している。
訴えているのはシェアハウス「かぼちゃの馬車」オーナー計13人。訴えた相手は破綻したスマートデイズの元役員にとどまらず、土地や建物を販売した業者や建設業者、投資を勧誘した不動産コンサルティング業者などスマートデイズに関係した複数の業者を含んでいる。 訴状は、スマートデイズのシェアハウスビジネスについて「投資家に高額不動産を売りつけるための詐欺的スキーム」と断じ、架空の投資話によって、著しく割高な不動産をスルガ銀行の融資によって原告らに購入させることで、スマートデイズや業者は多額の利益を得ていたと主張している。業者の利益の一部はスマートデイズにキックバックされ、多額の利益を得た後に計画的に破たんさせたという。 スマートデイズ、シェアハウスをめぐる問題を複雑かつ不可解にしているのは、オーナーを通じて建設業者や土地販売業者などにわたった金はスルガ銀行が融資した金であり、原告主張に従えば銀行は本来、被害者であるべきはずなのに、第三者委員会の報告にあるようにスルガ銀行側がむしろ積極的にスマートデイズのビジネスに関与していたことだ。 第三者委員会の調査報告書によれば、2015年2月の時点でスルガ銀行は、スマートライフ(後にスマートデイズに社名変更)の実質的経営者が住専関連の詐欺で前科があること、さらに、複数の会社を計画倒産させている“実績”があること、30年サブリース保証は家賃相場価格の倍以上の設定で収益がシミュレーションされていて、到底実現不可能であることという内容の告発を得ていた。