<城が語る>ハリルJにインパクトを与えた柏木と物足りなかった金崎
同じくFWで対照的だったのは、スタメン起用された武藤嘉紀と後半に途中交代した宇佐美貴史の2人だ。武藤は、ドイツで結果を出していることからプレーに自信が満ち溢れ、前を向き果敢に仕掛けた。点を取りたいという気持ちがプレーに現れ、こういうタイプのFWは日本には少ないだけに、ハリルホジッチ監督に評価されているのも理解できる。 対して宇佐美は、コンディションの悪さが目立った。ドリブルという突破力で、流れを変えることができるプレーヤーだったが、その持ち味を出せないでいた。ガンバ大阪の長谷川監督が言っていたが、宇佐美は体脂肪率を下げることをハリルホジッチ監督から指摘されたが、その取り組みを始めて以来、コンディションが低下。10分間くらいしか満足に動けない状態だという。 私も宇佐美と同じような失敗をした苦い経験がある。横浜マリノス時代のオズワルド・アルディレス監督が、ある一定の体脂肪率を守ることを義務付けた人だった。ベストパフォーマンスを発揮できる体脂肪率には個人差があるが、それを一律に制限したため、私も無理に体脂肪率を落とした結果、コンディションを狂わせ、逆に試合で動けなくなった。宇佐美の努力や気持ちもわかるが、まずコンディションを取り戻さねば、FW争いに生き残れない可能性もある。 いずれにしろアジア最終予選からロシアワールドカップを戦うメンバー選考に重点を置いた戦いは、17日のカンボジア戦までだろう。そこから先は、固定メンバーで戦い、チーム内の連携と戦術、戦略を高めていくべきで、当落選上にいる選手にとって、カンボジア戦が自己アピールのできる最後の舞台となる。 (文責・城彰二/元日本代表FW)