【実車レビュー】トヨタ クラウン エステート 「こういうのが欲しかった!」と思わせる優等生ワゴンだ
落ち着きのあるカラーリングと質感のインテリア
続いて車内を見ていきましょう。インパネの造形は、クラウン スポーツとほぼ同じ、左右非対称のデザインを採用しています。今回の撮影車両のシートやトリムはタンカラー、ルーフライニングはブラックだったこともあり、とても落ち着いた大人の雰囲気が漂っています。 ちなみに開発者によると、この落ち着いた雰囲気は内外装をデザインする際に重要視した部分なのだとか。クラウンである以上、アウトドアやカジュアルなイメージがあるエステートであってもある程度のフォーマルさを持っていなければならない、と考えたそうです。その結果、内外装は大人びたデザインやカラーリング、質感になったそうです。 このように車内は落ち着いた雰囲気ではあるものの、それでいて後席の頭上までグラスルーフとなっているので決して暗くなりすぎていないところも好印象でした。
後席はクラウンシリーズでもっとも使いやすいかもしれない
フロントシートはシート地こそスポーツやセダンとは異なりますが、形状や機能は共通のようでした。ヒーターやベンチレーションも付いていますし、これらの機能が連動するフルオートエアコンも装備されているものと思われます。運転席と助手席の乗員は快適なドライブを楽しめるはずです。 一方、リアシートはほかのボディ形状と比較すると明らかに乗り込みやすいと感じました。これはルーフ両サイドの梁がセダンやスポーツでは後方にいくに従い低くなっているのですが、エステートは高めかつ水平に近いことが効いています。 リアシートに座るとヒップポイントは高めで、足元の広さも十分確保されています。着座姿勢はセダンのソファに深く腰掛ける感じとは違い、チェアに座るというイメージです。アイポイントも高いので前方の見通しはクラウンシリーズの中で一番良いのではないかと感じました。
ラッゲジスペースは車中泊ニーズにも応えられそうな広さ
ワゴンタイプのクルマで大切なのがラゲッジスペースですが、広さや使い勝手はどうでしょうか? リアハッチを開けると荷室の床面積は真っ平らで、しかもかなり広く感じました。床下に3列目シートが隠されていてもおかしくないほどです。 リアシートの背もたれは60:40分割可倒式で荷室側壁にあるレバーで、ワンタッチで倒すことができます。シートバック部分はやや凹凸が残る点は少し残念です。ですが感心した点もあります。それは後席シートバックにリアシートの足元スペースを覆うパネルが付いていることです。 例えば車中泊をする際に、後席のフットスペースをどう埋めてフラットな寝床を作るかというのは、けっこう重要な問題です。またペットを入れたケージなど、前席からすぐに手が届くところにモノを置きたい場合にも、後席のフットスペースがまるで空堀のように邪魔な存在になります。 その点をクラウン エステートでは考える必要がないのです。また、後席シートバックを倒した状態の荷室長はかなり余裕があり、身長175cm程度の人でも十分横になれそうです。