完封勝利を挙げ、右手を上げる岡山学芸館・丹羽（撮影・持木克友）

　「全国高校野球選手権・２回戦、岡山学芸館２－０掛川西」（１５日、甲子園球場） 　２回戦４試合が行われ、岡山学芸館が掛川西（静岡）を下して同校初となる甲子園２勝を果たした。丹羽知則投手（３年）が甲子園初先発し、９回６安打無失点で公式戦初完封をマーク。２０１９年夏の甲子園で、顔面に打球を受けて新基準バット導入のきっかけとなった兄・淳平さん（２２）に並ぶ１６強入りを果たした。早実のほか神村学園と、大社が１９１７年以来、１０７年ぶりとなる夏２勝で３回戦進出を決めた。 　岡山学芸館・丹羽は白球を一塁にトスし、右手を高々と突き上げた。気づけばスコアボードに九つの０が並んでいた。 　「任されたイニングを全力で投げようと。最高の気持ちでいっぱいです」 　初回に連打で２死一、二塁のピンチを招くも本塁は踏ませず。二回からは４イニング連続で三者凡退と尻上がりに調子を上げた。緩急を駆使してテンポよく凡打を構築。四死球なしと自慢の制球力を発揮した。 　同じ投手の兄が見舞われた悲劇が“追い風”となった。２０１９年夏の甲子園の広島商戦で、同校ＯＢの兄・淳平さんが顔面に打球を受けて骨折。観戦していた智則にはショックな光景だった。その事故がきっかけとなり、今春から低反発バットの導入が決定。智則は「打ち取りやすさが上がった」と飛ばないバットの特徴をふまえて大胆に投じ、兄も観戦に訪れた大舞台で公式戦初完封を果たした。 　初戦・聖カタリナ戦では九回に登板して１回無失点。淳平さんからは「ピッチャーライナー気をつけろよ」と自虐も交えたユーモアあふれるエールをもらっていた。同校初の夏２勝を手にしたが、１６強だった淳平さんを超える８強入り以上が目標。「ベスト８以上を目指したい。ここからが勝負」と智則。兄が越えられなかった壁を破り、岡山学芸館の歴史を塗り替えてみせる。 　◆丹羽　知則（にわ・とものり）２００６年５月７日生まれ。１８歳。兵庫県川西市出身。１８３センチ、７１キロ。右投げ右打ち、投手。最速１４０キロ。５歳から野球を始め、多田東小では多田東少年野球クラブに所属。多田中では豊中リトルシニアに所属。岡山学芸館では２年春からベンチ入り。５０メートル走６秒３、遠投９７メートル。