宙に浮いた供託金100億円、高額献金対策の新法は「何の影響もない」 旧統一教会会長、退任時期は明言せず【単独インタビュー後編】
この2年間で、不動産を購入したケースは何件かある。献金は減っているが、海外送金もストップしているので、明日(経済的に)死ぬような状況ではない。 ―数年くらいは収支は持つのか。 ノーコメント。 ―自身の進退は 役員から代えましょうと言われれば代わる。2世の新しい世代は育ってきており、機は熟している。いつでも交代は可能だ。 ―集団交渉にはどう対応するか。 集団交渉には明らかに期限切れのものもある。個別で要求してくれればきちんと向き合っている。これまでに800件弱、約55億円を返金した。 ―報道については。 報道する自由、報道しない自由があると思うが、信者の人権侵害など客観的な被害はもっと報道してほしかった。ちょっと諦めというか、寂しい思いがする。 ―なぜ今インタビューに応じたのか。 海外でも信教の自由への懸念の声が上がっている。潮目が変わり始めている。日本でも反応してくれる人がいるだろうと思った。問題意識を発信していかなければならない。
◇インタビューは1時間半近くにわたり、解散請求への批判や、信者の人権侵害を訴える資料を記者に手渡す場面も。「信教の自由」を掲げて問題提起する田中会長。だが、被害を訴える当事者たちに言葉が届くとは思えなかった。 全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士は「日本教団は、韓国側の意向に逆らえない。だから『謝罪』もできないのではないか。韓国側への送金も見えない形で続いているだろう」と推測する。田中会長の進退については「辞めれば、これまで否定してきた教団としての責任を認めたことになる」と指摘した。 文教大の塚田穂高教授(宗教社会学)は「解散命令請求などを受け、教団は『被害者』意識をいっそう強めている印象だ」と批判する。信者への人権侵害が許されないのは当然としつつ「政権やメディア、全国霊感商法対策弁護士連絡会など、他者のせいにする姿勢ばかりが目立つ」と指摘。教団は改革をアピールするが、「教団側がもたらした過去の問題や被害が免責されるわけではない」。
公益性ある「宗教法人」として活動してきたはずなのに、解散請求されるほど問題を積み重ねてきたことは事実だとして、「真摯に被害と向き合わない限り、どんな『改革』や『おわび』も社会には伝わらず、空回りするだけだろう」と話した。