際立つレンタカー事故 奄美署管内 安全のためにできることは?
2023年に奄美署管内で発生したレンタカーが主な原因となった交通事故は258件で、事故総件数(1261件)の20・5%を占めた。鹿児島県全体(5・1%)の約4倍に相当する数字で、レンタカーが関係する事故の多さが際立っている。ほとんどは物損事故だが、人身事故も複数発生しており、同様の傾向は今年も続いている。観光客などのニーズが高いレンタカーだが、事故防止策も大きな課題だ。多客期の8月に島内の観光地を訪れていた利用者や、レンタカー業者など関係者に話を聞いた。 ◆目立つ初来島者の利用 話を聞いた利用者は8組。九州や関西、関東、北海道から来島しており、目的は観光が5組、帰省が2組、帰省中の友達の同行が1組だった。 普段の運転頻度は4組が「毎日」、3組が「週に1~2回」、1組が「月に1~2回」で、島内での道案内は2組が「カーナビ」、3組が「スマホのアプリ」を使用。残りの3組は運転手や同乗者が奄美の地理に詳しかった。 一般社団法人「あまみ大島観光物産連盟」のアンケート調査結果(22年度)によると、観光目的の来島者3474人の64%は初来島で、67%がレンタカーを利用。今回、話を聞いた観光目的の5組もすべて初めて島を訪れており、初来島者のレンタカー利用率の高さを裏付けた。 ◆島の道の印象 奄美の道路事情に対する印象は、「走りやすい」「信号が少ない」などが大半。一方、運転中に驚いたり、気になったりしたこととして、複数が「急に道が狭くなったり、曲がり角になったりする」「人や車が脇道から現れることが多い」。他にも「山道での離合に不安を感じた」「集落の道が狭い」「外灯が少なく夜の運転は不安だった」との声もあった。
◆レンタカー店では? 島内に奄美空港店(奄美市笠利町)と名瀬店(同市名瀬)の2店舗を構えるトヨタレンタリース鹿児島では、自社が集計する島内の事故データを用いて、「奄美大島走行危険箇所ランキング」を作成。利用者には、最も事故が多い場所の「道路脇の縁石」について、車載センサーで感知しない高さでもバンパーが接触する場合があることや、次いで多い「宿泊施設駐車場」では柱や他の車両への接触が多いことなどを伝え、注意を呼び掛けている。 両店舗の中江直也店長(45)は「以前と比べ大きな事故は減ったが、小さな事故が増えている。世界自然遺産登録後はレンタカー業者も増えた」と話す。 他にもカーナビを使って観光地などに向かう利用者のスムーズな到着へ、駐車場が目的地になるように設定するなど工夫をしているという。 ◆一人一人が安全意識を 県交通安全協会奄美地区協会は、奄美署や奄美地区安全運転管理協議会と連携して事故防止の啓発に取り組んでいる。時岡圧典事務局長(65)は「商業施設の駐車場の入り口と出口を間違える車もいる。〝ヒヤリ・ハット〟する事案はかなり多いはず。もらい事故を防ぐためにも、すべてのドライバーの安全意識が重要」と話す。同協会では今後、歩行者向けの安全ステッカーを歩道に貼ったり、運転手向けに(夜間でも分かるように)反射材を使ったステッカーを電柱に貼ったりするなどの対策を進めるという。 同署管内では今年に入り、交通死亡事故が複数発生している。一人一人の安全意識の向上とともに、危険の芽を見つけ出し、摘み取るための行動と対策が重要だ。