韓国の清掃や警備などの公務職労働者の定年引き上げ、公務員へとつながるか
行政安全部が公務職労働者の定年を65歳にまで引き上げたが、その他の省庁にも似たような動きが見られる。これらの動きが労働市場における雇用の継続、定年延長議論にどのような影響を及ぼすかが注目される。公務職労働者の定年延長が実現しているのは「高齢親和職種」中心であるため、影響は限定的だろうとの見通しがある一方、「政府」による決定だという点で象徴性が強いとの分析も示されている。 大邱市(テグシ)は22日、公務職労働者412人の定年を65歳まで段階的に引き上げると明らかにした。また、保健福祉部が定年延長の対象を確認するなど、一部の政府省庁も検討をはじめているという。行安部は今月14日、規定を見直し、美化(清掃)・施設管理労働者の定年を65歳にまで延長した。 公務職労働者の定年延長議論が活発になっているわけだ。ハン・ドクス首相もこの日、政府のその他の分野にも定年延長が必要かを記者団に問われ、「深刻にこの問題を検討していかなければならないと考える」とし、「2040年、2050年になった時、高齢者と青年の比率は韓国の経済、社会、安保分野にまで影響を及ぼすだろう。社会的合意を早く形成しなければならない」と答えた。公務職労働者は公務員のように政府が雇用するが、国家・地方公務員法ではなく、民間労働者と同様に労働基準法が適用される。中央行政機関、地方自治体、公共機関などにおいて、公務職労働者は合わせて33万人いると推定される。 公務職労働者の定年延長議論が触発されてはいるものの、定年が延長された職種が「清掃、警備」などの、いわゆる「高齢親和」職種であるため、その他の分野にまで広げるのは容易ではない、との見通しも示されている。文在寅(ムン・ジェイン)政権は「公共部門の非正規労働者の正規化」政策によって中央行政機関、地方自治体、公共機関が委託した業務にあたっていた労働者を、定年の保障される公務職として直接雇用した。この過程で清掃・警備職種は高齢親和職種に分類され、定年を60歳より高く設定するケースも多かった。民間でも60歳を超えても働けるのに、公務職であるとの理由で退職させることはできない、との理由からだ。実際に、人事革新処の公務職も、警備・清掃労働者はすでに定年が65歳となっている。 ソウル科学技術大学のチョン・フンジュン教授(経営学)は、「それらの職種は求人そのものが容易ではなく、(給与等級制ではなく)職務級賃金体系が適用されている」とし、「定年延長にともなう人件費負担がそれほどでもないため、引き上げ決定は難しくなかったはず」だと述べた。雇用労働部の関係者は、「公務職には事務補助などの様々な職種があるが、職種と関係なしに定年を引き上げられるのかの検討が必要だ」と語った。 一方、公務職の雇用延長を決める主体が「政府」であることから、公務員の雇用延長議論に一定の影響を及ぼすだろうとの見通しも示されている。全北大学のチェ・ジュンホ教授(経営学)は、「国民年金だけでなく公務員年金でも定年と受給開始年齢のミスマッチが発生しているため、公務員の雇用延長要求も強い」とし、「雇用延長議論を触発するだろう」と述べた。継続雇用、定年延長に関する議論は現在、社会的対話機関である経済社会労働委員会の「人口構造変化に対応した継続雇用委員会」で行われている。 パク・テウ、キム・ギュヒョン、チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )