「もう無理…」なぜ現役世代が犠牲になって高齢者の医療費を負担しなければならないのか? 現状9割引の医療費を7割引にしても「健康には大きな影響はない」とのデータも
現役世代が後期高齢者の医療費の大部分を負担していることをご存じだろうか。高齢者たち自身は医療費全体の1割程度しか負担しておらず、毎年、現役世代から多額の“支援金”が送られている。 現役世代にとっては絶望的なデータ その額は6.6兆円を突破し、過去最大を更新した。今年、団塊世代のほとんどが75歳になることでさらに増加していく見込みだ。「もう限界…」と現役世代が声をあげても、政府は「自然増であり、不可抗力」と繰り返すばかり。しかし、それは本当に「仕方ない」のだろうか。
現役世代は高齢者に7兆円近くの支援金を送っている
私たち現役世代の給与から天引きされ高齢者医療へ使われている“支援金(交付金)”が6兆6989億円となり、2年連続で過去最大を更新したことが厚生労働省から8日発表された。(1) これは東京オリンピック4回分、国の防衛予算にも迫る金額といえば、どれだけ莫大であるかが伝わるのではないか。 政府はこれまで「社会保障費は高齢化により自然増しており、現役世代の負担増は不可抗力だ」と説明してきたが、そうとは限らない。 政府はこうなることをわかっており、これまでいくつもの打開策を議論してきた。それにもかかわらず医療業界あるいは左派団体による抵抗に忖度し、やるべきことを先延ばしにしてきたのであれば、社会保障費の増大は“人災”とも言えるのではないか。 例えば会社が500万円の人件費で雇用するとき、団塊世代が働き手だった50年前の労使折半分を含む保険料は約15%で手取り425万円となる。これと比べ2023年時点の保険料は約30%で手取り350万円となり、年間75万円もの可処分所得が減少した。さらに1989年から導入され、現在では10%に上げられた消費税を含めると、年間100万円近くの差となる。 これでは家族計画や資産形成にも支障が生じ、少子化が進むのは当たり前。 子どもや孫世代がさらなる負担増に耐えられるはずもなく、私たち現役世代が高齢者になるころには医療制度そのものが破綻、あるいは形ばかりで中身を伴わないものとなっていく可能性も。「高齢世代も社会保険料は払ってきた、だから現役世代も耐えるべき」という意見は的外れなのだ。 もはやこのままの社会保障を維持することこそが、現役世代の将来における最大のリスクなのではないか。 現役世代の負担はもう限界。そうであれば棚上げされてきた医療改革を推進し、効率化によって支出を減らしていくしかない。とはいえ公的医療の見直しに対する “恐れ”は根強く、なかなか改革を求める世論は高まってきていない。 そこで次のページでは、医療費がどれだけ高齢者を含む国民の生活や健康と関係のないムダと非効率に浪費されているか、そして私たち現役世代だけではなく子どもや孫たち将来世代の可能性まで奪う原因となっているかを示していく。
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