“あの世は深かった”……死後の世界のガイド本出した辛酸氏と寺井氏が対談
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人生の最期のときに向けて準備する“終活”ブームと言われています。しかし、人は亡くなったらどうなってしまうのか。死後の世界は、どのようなものなのか。だれもが漠然と持っている死への不安や恐怖心に対する答えはありません。 そこで漫画家・コラムニストとして活躍する辛酸なめ子さんと、怪談蒐集家で離婚式や涙活などを手がける寺井広樹さんが、臨死体験者や宗教家らに取材し、死後の世界のための“ガイドブック”「辛酸なめ子と寺井広樹のあの世の歩き方」(マキノ出版)を3月、刊行しました。 タイトルや装丁から、海外旅行のお供の“あの本”をつい連想しますが、「天国とは」、「守護霊とは」、「先祖とは」、「生まれ変わりとは」など、死にまつわる素朴な疑問を、明るく大まじめに探究しています。 取材を通し、「今、生きていることを大切にしなくてはと思った」と声をそろえる辛酸さんと寺井さんが、なぜ今、“あの世”と向き合ったのか、著者対談しました。
「“あの世”も近代化した?」「親族天国でどうしている?」疑問がきっかけ
そもそも、どうして今、死後の世界を扱った本を出そうと考えたのでしょう。寺井さんはかつてブームとなった故丹波哲郎さんの著書「大霊界」シリーズから約30年が経ち、「もしかしたらあの世もずいぶん“近代化”したのでは、と気になっていた」と理由を説明します。 そこでスピリチュアルの世界に詳しい辛酸さんに声をかけたところ「ちょうど親族が次々亡くなって、天国でどういう風に暮らしているんだろうと、『あの世』へ興味が高まっていたときだった」と快諾。合わせて「それが普通だと思いますが、死ぬことに対して不安を感じている人に向けて、何か解明できれば、という思いで始めました」(辛酸さん)。以前から気になっていた国内外のヒーラーなど“あの世の専門家”12人を取材しました。
5回臨死体験した医師や地獄に住んだ弁護士ら“あの世専門家”から取材
著書では、漫画とリポートで、それら“専門家”による天国のエピソードなど死後の世界の体験談を紹介していますが、著者2人は特にどの話が心に残ったのでしょう。 辛酸さんは、溺死や凍死など5回臨死を体験、そのたびモナリザ似の神様に「まだ来る時期じゃない」と言われて帰ってきたという自然療法医を、寺井さんは「天国から戻ってきた話は聞いたことがありましたが、地獄に住んでいた話は初めてだった」と、空気中に漂うエネルギーを摂って生活している不食の弁護士を挙げました。 これら臨死体験者について辛酸さんは「ふっきれたというか、波動が高いというか、人間的にも深みがある」。生還後の人生に対し、「人の役に立つために生きるという使命を持っている崇高な人たち」と感じたそうです。また、体験者が死ぬ際、苦しみや痛みではなく、「気持ちがいい」と共通して口にしたことから、寺井さんはだんだん、死への恐怖心がなくなり、「むしろ一種の憧れも芽生えた」と明かしました。