栃木県民は公共交通を「ほぼ使わない」8割超…交通網の貧弱さ、不満要因から浮き彫りに
栃木県が行った今年度の県政世論調査で、公共交通機関を「ほとんど利用しない」とした人が8割を超えた。公共交通機関に不満を感じる要因では、運行本数や駅・バス停までの距離などが多数を占めた。公共交通機関を利用している人の満足度は高く、交通網の貧弱さが利用を妨げていることが浮き彫りとなった。(奥山大輝) 【グラフ】栃木県民が公共交通に感じている不満、1位は?
県政世論調査は県が専門業者に委託し毎年行っているもの。継続質問のほか、その時々の注目テーマについても質問項目を設けており、今回は昨年8月に開業したLRT「ライトライン」の話題性などを考慮し、公共交通に関する質問を初めて聞いた。
調査結果によると、日常生活の中で鉄道・バス・タクシーなどの公共交通機関を「ほとんど利用しない」と回答した人は83・3%だった。このうち、「自家用車やオートバイを使うのでほとんど利用しない」との回答が43・1%で、約半数を占めた。「ほぼ毎日利用する」は3・1%、「1週間に数回利用する」は2・5%、「1か月に数回利用する」は9・9%で、「利用する」とした人は合わせて15・5%だった。
公共交通機関を「利用する」と回答した人に、公共交通のサービスや運行状況の満足度を聞くと、「満足している」とした人は、「どちらかといえば」を含めて67・2%に達した。不満だとした人は32・4%だった。
「公共交通機関に不満を感じること」をすべての対象者に複数回答で聞くと、「運行本数が少ない」(41・3%)が最多で、「自宅や目的地から駅・バス停までが遠い」(34・7%)、「他の公共交通機関との乗り継ぎに時間がかかる」(19・6%)などが続いた。
地域別では「運行本数が少ない」との回答の割合は、県南が46・4%、県北が46・1%とそれぞれ5割弱だったのに対し、県央では34・9%で、地域間で差があった。
今回の調査で、この5~6年の間に暮らしがどう変わったかを聞くと、「悪くなった」とした人は51・0%となり、昨年度の53・0%とほぼ横ばいだった。ただ、「悪くなった」の割合は2022年度以降、3年連続で5割を超えた。