3年目の朴槿恵大統領、レームダックは避けられるのか? 辺真一「コリア・レポート」編集長
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が2月25日で就任3年目を迎えます。しかし、支持率は急落して30%を割り込み、李完九(イ・ワング)首相の人事では与党セヌリ党から造反者が出るなど、“逆風”はさらに厳しくなっています。潜在成長率4%台達成など経済活性化を打ち出していますが、レームダック寸前との指摘もある朴大統領。3年目を展望します。 【図表】朴槿恵大統領が反日的な4つの理由は?
支持率は急落、30%割り込む
韓国の大統領の任期は5年。憲法で再選は禁止されているので、2013年2月に就任した朴槿恵大統領の残りの任期は3年。大統領として最も力を発揮できるはずの3年目に入ったのに朴大統領の支持率は30%を割ってしまいました。大統領就任2周年を前にある調査機関が全国の教授や研究員など専門家300人を対象に行った調査では朴槿恵政権の政策について「失敗した」と答えた人が82%に達していました。 不人気の原因は昨年の韓国の10大ニュースにランクされた事件、事故に集約されていると言っても過言ではありません。 10大ニュースにリストアップされた▲旅客船「セウォル号」沈没事故▲首相、閣僚候補者らの人事ミス▲朴大統領元側近の国政介入疑惑▲6人の死者を出した軍隊内での集団暴行、銃乱射事件▲経済停滞の長期化などどれもこれも朴大統領の行政手腕、統治能力が問われた事件、事柄でありました。
「ナッツリターン事件」も影響
「セウォル号」沈没事故では政府のずさんな対応により400人近い死者を出してしまい、国民の怒りを買いました。大統領が任命した首相候補ら閣僚候補らが相次ぎ辞退したことで大統領の人事に批判が集中しました。さらに朴大統領元側近の国政介入疑惑事件では側近らの内紛勃発で大統領府(青瓦台)の内部文書が流出し、「青瓦台の主」としての大統領の監督不行き届きが大きな問題となりました。経済が一向に良くならない、景気が好転しないことへの国民の苛立ち、不満も不支持率の大きな要因となっています。 番外ですが、大韓航空女性副社長による「ナッツリターン事件」も不支持に輪をかけました。大統領選挙公約で財閥規制強化を訴えたのに財閥の横暴、不正行為が一向に是正されず、韓国のイメージを著しく損なう結果を招いたからです。南北関係が改善されないことも朴大統領にとってはマイナスポイントとなりました。