もはや水のようなサラサラ具合で従来のクルマ好きは不安になるほど! いま「超低粘度オイル」が広まりつつあった
ハイブリッドモデルの登場でオイルは低粘度が一般的に
燃費やパワー、さらにはエンジン内部の保護など、粘度による違いがあるため、クルマ好きならエンジンオイルの粘度にこだわっている人も多いはず。オイルの粘度は缶に5W-30などと表記されていて、Wが付いているほうが低温時の粘度で、付いていないほうが高温時の粘度となる。 【写真】路面にできた虹色のシミの正体とは!? 基本的には自動車メーカーが定める粘度に沿ったものを入れて、スポーツ走行などでは硬くしたりする。また、指定より柔らかいものを入れると油膜が薄くなって保護力が落ちて、エンジンへダメージを与えてしまうこともあるため、避けるのが基本だ。 ただ、耐摩耗という点では高粘度が有利でも、エンジン内部で撹拌されたりするので柔らかいほうが燃費が良くなるし、軽快な回転フィールになったりもするので、その塩梅は難しいところではある。 ここ20年ぐらいの流れとしては、やはり燃費重視でドンドンと柔らかい粘度のオイルが純正指定されている。10W-30は以前であればスタンダードな粘度だったが、いまでは硬い部類に入るほどで、さらにここ10年ぐらい0W-20あたりが主流となっている。 低粘度化はとどまるところを知らないと言っていいのだが、最近では0W-12や0W-8といった超低粘度オイルが使用されるようになってきている。ちなみにここまでになるとオイル特有のドロドロ感はなくて、水のようにサラサラしている。クルマ好きの間ではエンジンに悪いという意見もあるが、メーカーの生産ラインで充填されているので、最近のハイブリッドモデルでは強制的に使用されているというのが現実だ。
日本発の規格が世界に広まりつつある
実際の特性や性能を見ると確かにギリギリなのだが、それでも省燃費を狙うには欠かせないという面もある。また、ハイブリッドではエンジンはそれほど高回転までまわさないから、高粘度で保護力を確保しなくてもいいというのも、超低粘度オイル普及の最大理由だろう。とにもかくにも省燃費というわけだ。 ただ、お馴染みのオイルの規格はアメリカのものが多く、あちらではハイブリッドが日本ほど普及していないこともあって、当初は未認証のオイルだったり、日本独自のGLV-1という規格での性能担保ではあった。認証には莫大な費用もかかるので、純正オイルとして使用する範囲なら認証を取らなくてもいいという判断もあった。 ただし、昨今の電動化のなかで、ハイブリッドの実用性が世界的に認められつつあるのも事実で、それに合わせて超低粘度のオイルも世界基準として認められるようになって規格化されている。規格基準は日本のものがベースになっていて、まさに日本発の基準というわけだ。 また、世界基準になったことで、世界のオイルメーカーがラインアップすることも考えられ、ユーザーとしては選択の幅が広がるということになる。
近藤暁史