「検察なめんなよ」「反省しろよ」検事の取り調べ映像再生…プレサンス国賠訴訟
業務上横領罪で無罪が確定した不動産開発会社の元社長が、大阪地検特捜部の違法な捜査があったとして国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が20日、大阪地裁であり、同社の元部長に対する検事の取り調べの録音・録画データが法廷で再生された。検事が「検察なめんなよ」「反省しろよ」とどなり続ける様子が映し出された。 【表】「プレサンス」事件を巡るこれまでの経緯
原告は「プレサンスコーポレーション」の山岸忍元社長(61)。
山岸氏の部下だった元部長(有罪確定)は検事からどなられた後、山岸氏の事件への関与を認め、特捜部はその供述を基に山岸氏を逮捕・起訴した。しかし、大阪地裁判決は元部長の供述の信用性を否定し、無罪を言い渡していた。
訴訟では、最高裁が10月、元部長への取り調べの録音・録画データ(約17時間50分)を証拠提出するよう国に命じる決定を出した。この日の法廷では、弁護団が特に問題視する場面が約25分間再生された。
再生された映像によると、特捜部検事だった田渕大輔検事(52)は2019年12月7日の取り調べで、山岸氏の事件への関与を否定する元部長に対し「なんでいいかげんに説明をするんですか」「今の怒っていいでしょ。怒らせてもらいますよ」と声を荒らげた。
審理は20日でいったん終結し、来年3月21日に捜査の違法性や賠償責任の有無を判断する中間判決が出される。
閉廷後、大阪地検は元部長への取り調べについて、最高検監察指導部から不適正と通知を受け、田渕検事に指導したことを明らかにした。検察がこの事件で取り調べが適切ではなかったと認めるのは初めて。
大阪地検の田中知子次席検事は「今後とも適正な取り調べの実施に努めてまいりたい」とのコメントを出した。