EVの車両火災は火葬場よりも温度が高い1200℃…万が一のためにドイツでは「レスキューカード」を車内に積むことを推奨しています【みどり独乙通信】
緊急時に使えるレスキューカードとは
電気自動車のバッテリー火災の消火には、専用に開発された特殊機械を導入するようです。鉄鋼製のスパイクで車両バッテリーカバーを突き刺して直接水で消火することができるようですが、消火前に大がかりな作業が必要となります。また、今回の事故で使用された消火水の量は約1万3000L。内燃機関で同様の事故が起きた際に使用される水の10倍もの量を要したようです。今回は単独事故だったものの、電気自動車同士の正面衝突事故で火災が起きた際には、さらに消火活動には時間と水が必要となる可能性がありますね。 「レスキューカード」はADAC(ドイツ自動車連盟)とVDA(ドイツ自動車工業会)によって開発されたもので、事故の発生時に使用します。ADACでは、愛車のレスキューカードをダウンロードして車内に積んでおくことを推奨しています。今回の事故車はシュコダのどのモデルだったかは不明ですが、最近よく売れている「エンヤク」というEVモデルと仮定してダウンロードをしてみました。 消防署でも可能な限りすべてのモデルのレスキューカードを持っていて、これを参照に消火・救命活動が行われるのですが、一歩間違えば消防や救急隊員の方さえも命の危機に陥る可能性も出てきます。ガソリン車の私の愛車と比較しても電気自動車は非常に複雑なのが一目瞭然です。 以前、ミュンヘンの消防本部の方にインタビューをした際に電気自動車の火災の件を伺ったところ、 「ミュンヘン市内では電気自動車に限らず、毎日のように何かが燃えています。ガスや化学爆発、電気設備の故障火事、車両火災、住宅火災等、すべてに対応できるように日々訓練を積んでいます」 とおっしゃっていました。電気自動車に関しては自動車メーカーやADACやさまざまな研究機関と連携して、つねに最新の情報収集と対策を練って訓練に励んでいるとのことで非常に頼もしく思いました。
池ノ内みどり
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