「けいはんな」でも来年万博…先端技術と文化・国際交流柱に
2025年の大阪・関西万博開催に合わせ、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)を舞台にした「けいはんな万博」が開催される。「都市開き」から30年となる一帯で、先端技術と文化・国際交流を柱にしたイベントを計画。京都府は産学官の連携を強め、デジタル技術で発展するスマートシティーの実現を加速させたい考えだ。(岩崎祐也) 【地図】関西文化学術研究都市
「実装のまち」実現へ
京都、大阪、奈良3府県の8市町にまたがる学研都市には、7大学と157企業(今年4月時点)が集まり、研究者や職員は計1万1000人以上。技術系のスタートアップから中小企業、研究機関が集まる「実証のまち」として、ビジネスの拠点となっている。 万博を機に、府などはデジタル技術を生活に取り入れた「実装のまち」の実現や活性化を進めたい考えで、来年4~10月に様々なイベントを計画している。 先端技術関連では、企業が集積する京都府精華町の精華大通りで、移動ロボット(アバター)で買い物をする運動会、自動運転レベル4の運行を計画。人工衛星の電波を使った水道管点検、歩くだけでスマートフォンの無線充電ができるシステムを構築する。 日常生活での導入には5G基地局や通信環境整備が必要で、京都府は約5000万円の補正予算案を開会中の府議会に提案している。 二酸化炭素を吸収する技術の導入に企業の排熱を活用する計画もあり、府の担当者は「最新技術を学研都市に落とし込みたい」と話す。
文化資源発信
文化・国際交流関連では、国立国会図書館関西館(精華町)を拠点に展示会などを開く。国際日本文化研究センター(京都市西京区)の文化資源を活用して浮世絵や妖怪といったテーマごとに展示し、海外の来訪者を呼び込む。 取り組みに関心を示しているアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビとも連携。アニメ、ゲーム分野などで文化を発信する。 国連の気候変動会議が開かれた京都、パリ、アブダビの3都市が協力し、地球環境に適した産業を考える展示会も検討している。 事務局の関西文化学術研究都市推進機構の藤原広志・研究開発推進室長は「学研都市の技術に触れる機会を積極的に作り、さらにレベルアップしたまちにしていきたい」と意気込む。