中部電力が策定した浜岡原発の基準津波

　原子力規制委員会は11日に開いた中部電力浜岡原発3、4号機（御前崎市佐倉）の新規制基準適合性審査会合で、中電が策定した耐津波設計の目安「基準津波」を了承した。地震などにより同原発に到達する津波は敷地前面で最大25・2メートルになると想定し、規制委は「おおむね妥当な検討がなされた」と判断した。最初の4号機の審査申請（2014年2月）以来、約10年続いた議論が決着した。 　既存の防潮堤（22メートル）を上回る想定となったため、中電は新規制基準で要求されている津波で敷地を浸水させない「ドライサイト」の確保に向け、追加対策を行う方針。かさ上げなど具体的な内容が焦点となる。 　25・2メートルは、最も厳しい条件の南海トラフ地震の津波と、遠州灘沖1地点の海底地滑りの津波が重なり合う場合の数値。このほか、1～5号機の取水槽地点の上昇水位が最大となる波源や、引き波によって3、4号機の取水塔から取水できない時間（水位低下時間）が最も長くなる波源も、基準津波として選定した。 　基準津波は、昨年9月に決定した耐震設計の目安となる最大の揺れの想定「基準地震動」とともに、建屋や設備などプラント審査の前提となる。同原発の立地特性から南海トラフ地震や海域活断層地震、海底地滑りなど評価項目が多く、特に支配的な影響を及ぼす南海トラフ地震の津波を巡る議論に長期間を要した。 　基準津波と基準地震動が決まったことを受け、中電はプラント審査の再開を規制委に要望する。規制委は今後、中電の林欣吾社長と意見交換をする意向で、この場で林社長が正式に申し入れる見通しだ。 　中電の天野智之原子力土建部長は会合後の取材で、「可及的速やかに意見交換を実施していただき、次のステップに入りたい」と期待した。防潮堤の追加対策に関しては迅速に検討を進めるとし、意見交換の際に「何かしらの説明ができることを目指しながら、考えてはいきたい」と述べた。