にしたんクリニックがなぜTOKYO IDOL FESTIVALをスポンサードするのか? 西村社長が明かすエンタメの魅力と徹底したNo.1戦略
今年も世界最大のアイドルイベント「TOKYO IDOL FESTIVAL 2024 supported by にしたんクリニック」(※通称TIF)が、8月2日(金)、8月3日(土)、8月4日(日)の3日間にわたって開催され、3日間で195組1,306名のアイドルが集結し80,604人を動員して盛り上がった。毎年恒例となったこのフェスは近年、不妊治療クリニックなどを手掛ける「にしたんクリニック」がスポンサードを続けている。しかし、なぜ「にしたんクリニック」がアイドルフェスをスポンサードし続けるのだろうか。今回はにしたんクリニックの社長・西村誠司氏に、個性的なテレビCMにも必ず自ら出演をする理由や、TIFをはじめとしたアイドルイベントをスポンサードする意図など、ずばり聞いてみた。 【写真】3日間で80,604人を動員したTIF2024圧巻のフィナーレ ■アイドルのコンサートで「ファンの人たちが輝いて見えた」 ーー「TIF」をはじめ、シントトロイデン(※サッカーベルギー1部リーグ)などスポンサード活動も活発です。どのような想いでエンタメコンテンツへのスポンサードを実施されているのでしょうか。 アイドルとの関わりが始まったのは、10年ほど前なんですよ。「イモトのWiFi」でイモトアヤコさん(ワタナベエンターテインメント)と契約させていただいていて、柏木由紀さんをはじめAKB48のメンバーもワタナベエンターテインメントさんに所属していたんです。それで彼女たちをスポンサードする流れになって、初めてコンサート会場に足を運びました。そしたらファンの人たちが輝いて見えて、エンタメって本当に素晴らしいなって実感したんですよね。それがきっかけで、アイドルイベントへスポンサードを実施するようになりました。 ーー3年ほど前からTIFのスポンサードを実施したきっかけがあればお聞かせください。 僕らは基本的に各ジャンルのトップレベルのイベントにスポンサードをして、自分たちのブランド力を高めていくっていう方針でやっています。TIFは最高峰のアイドルイベントだと思っているので、スポンサードさせていただいています。TIF以外でも、「とんねるず」さんのコンサートなどもスポンサードさせていただいています。 TIFは3年前の当時はコロナ禍の最中だったので、スポンサーをやりつつPCR検査を無償で提供すれば、皆が安心安全でイベントに参加できるなと思ったんです。それが一番のきっかけですかね。エンタメ業界全体が苦境だったので、力になれればと思っていました。今は僕らがやるのが当たり前みたいになっていて、もはや降りるに降りられないんですよ(笑)。夏の風物詩になってるから、降りたらイベントのファンの方が悲しむかなと思って、続けていますね。 ■「出たがりの社長」を分かりやすく演出している ーー西村社長は必ずCMにも自ら出演されたりと、タレント社長として知られていますが、社長が顔を出すことについての考えをお聞かせください。 「社長が出たがる」っていう構図って、分かりやすいと思うんですよ。出たがりでなくても出たがりを演じた方が、世間から「あいつ出たがりだからさ」っていうレッテルを貼られやすいじゃないですか。僕はそれが一番分かりやすいなって思っているので、社長は絶対顔を出した方が良いと思いますね。皆さんがイメージする姿に自分を寄せていった方が、分かりやすいですよね。社長が前に出るっていう典型的な感じの方が印象に残りやすいだろうなっていう考えがあるので、戦略的に前に出るようにしています。 ーー「出たがりを演じている」ということですね。そういった考えに至ったきっかけはありますか? 何かの本に書いててとか、どこかの社長に言われてとか、そういう分かりやすいきっかけはないんですよ。いつからそういう考えになったのかは覚えてなくて、自然とそんな感じになっていきましたね。ここ10年くらいで感覚が身に付いていったのかなと思います。 ■成功の秘訣「うまくいかない時の負の感情が自分を強くする」 ーー国内外の通信が発達する時期に「イモトのWiFi」をヒットさせ、コロナ禍ではPCR検査と、時代のニーズをいち早くビジネスにされていますね。 何かをやって、次何が起こるんだろうっていう仕掛けを作るのが面白いんですよ。今取り組んでいる不妊治療のクリニックの運営も、今まであったクリニックとは何がどう違うのかっていうのを考えている瞬間が楽しいですね。でも大体考えた通りにいかないことがほとんどなんです。今でも「どの分野で何の商売やったら儲かりますか?」とか「このビジネスプランってうまくいくと思いますか?」ってよく聞かれるんですけど、正直分からないです。今でも分からないですけど、分からないことを自分でこうじゃないかって考えて実行して結果を見るプロセスが面白いと感じますね。 ーー西村社長流のビジネスのコツは? そうですね。ビジネスを始める際に、何が成功のトリガーになるか分からないから、10個くらい手を考えて実行するんですよ。それでどれかがハマった時に出るアドレナリンが快感なので、仕事は楽しいですね。広告についても、やってみて反応があると面白いんですよ。もちろん外れることの方が多いですけどね。その繰り返しが楽しいと思います。 ーーうまくいかない時もあると思います。そういう時はどうされますか? 忘れるようにしています。クヨクヨしないタイプですね。経営者としての僕の強みって粘り強いところなんですよ。うまくいかない時の負の感情が自分を強くすると思っています。 ■不妊治療の次は…?「無痛分娩を気軽にできるインフラを作りたい」 ーー時代のニーズに合ったインフラビジネスを提供して、今は不妊治療クリニック「にしたんARTクリニック」が拡大中です。この事業における画期的なアイデアはありますか? そうですね。僕の中で現在のメインフィールドです。始めてわずか2年しか経ってないですけど、日本一になりました。僕らがやる前は、ほとんどの不妊治療クリニックが夕方の18時半には診察が終わっていたんですよね。でもそんな時間に終わっちゃったら、働いている人は誰も行けないじゃないですか。今って女性が働きながら不妊治療ができなくて、それで離職してキャリアが途絶えるっていう問題があると思います。なので、にしたんARTクリニックが女性の働く環境を整えるためのインフラになるんだっていう思いがあって、22時まで診察をするように設計しました。 ーー最後に、次に西村社長が挑戦したい事業はありますか? 次は無痛分娩を気軽にできるインフラを作りたいと思っています。3人目の娘がアメリカで産まれた時、初めて無痛分娩をやったんですよ。その時うちの妻が「私これだったら何人でも産める」って言っていたんです。1人目と2人目の時も出産に立ち会ってたんですけど、妻が地獄のような痛みを感じているのを目の前で見てました。それで3人目は無痛分娩だったので調べてみたら、アメリカだと7割くらいの人が無痛分娩で出産してるみたいで。でも日本だと6~7%くらいしかいないんです。それも踏まえて、出産時の痛みが2人目以降を産むことのブレーキになっていると思いました。なので、無痛分娩を広めていきたいです。100%無痛分娩になったら、絶対子どもは増えると信じています。