2024年度からの東京都における高校授業料実質無償化とは?
2023年12月、東京都議会の所信表明において、小池百合子知事は私立を含む東京都内の全ての高校の授業料を2024年度から実質無償化するとの方針を示しました。 東京都内にお住まいの生徒や保護者にとっては、確実に朗報といえるニュースでありますが、この記事ではあらためて、東京都の方針に基づく支援の概要や注意点などについて確認してみたいと思います。 ▼「住民税非課税世帯」や「多子世帯」は無料で大学に行ける? 無償化の要件を確認
2023年度の高校の授業料に関する支援制度
高校の授業料に関する支援制度は、大きく分けて国の制度である「高等学校等就学支援金制度」と、地方自治体による独自の制度の2つがあります。 まず、国の高等学校等就学支援金制度は、高校の授業料軽減を図るために2010年度から導入されました。年収の目安として910万円未満の世帯が対象となり、現状で全国の約8割の生徒が利用しています。 支給額は、公立高校では授業料相当額の年11万8800円ですが、私立高校の場合、所得の判定基準に応じて年収590万~910万円の世帯は年11万8800円、年収590万円未満の世帯は平均授業料相当額の年39万6000円が上限となっています(図表1)。 図表1 2023年度の高校授業料に関する支援策
※筆者作成 また、図表1のとおり、東京都では国の支援策に上乗せする形(図表1の青色部分)で、年収910万円未満の世帯を対象に、都内私立高校の平均授業料分まで(47万5000円まで)を助成してきました。 つまり、2023年度においても世帯年収910万円までの世帯には、公立・私立ともに高校授業料の無償化が図られていたことになります。
2024年度以降の東京都の支援に関する方針
東京都は、2024年度(2024年4月)から、全ての高校の授業料助成に関する所得制限を撤廃して、「実質無償化」する方針を示しています。 これまで世帯年収910万円以上の世帯については、国および東京都の支援の対象外となっていましたが、図表2のとおり、所得制限の撤廃によって、一気に47万5000円(図表2の緑色部分)までの支援を受けることができるようになります。単純計算では、高校3年間で約142万5000円の支給を受けられます。 図表2 2024年度の東京都の高校授業料に関する支援方針