関空、神戸の新飛行ルート議論大詰め 大阪万博契機の航空需要拡大取り込みへ準備着々
両空港を補完するのが神戸空港だ。新ターミナルの整備に向け、設置管理者の神戸市が事業費約150億円を投じる。国際便就航に向けた対応はもちろん、展望デッキや商業施設も整備してにぎわいを創出することも狙う。(藤谷茂樹)
■持続可能な地域づくりにつなげ 上村敏之・関西学院大経済学部教授
関西3空港の今後にとって神戸空港の国際化がカギになるだろう。(万博が開幕する)来年春にチャーター便が飛び、令和12年をめどに解禁される定期便が就航できるのかだ。
関西国際空港の建設地が神戸沖から泉州沖へと変更された歴史的な経緯をみれば、需要の奪い合いなどの自治体側の懸念は分かる。だが、関空全体の旅客数は神戸の7~8倍あり、心配には及ばない。
人口減少で国内の航空需要に大きな伸びが期待できない中、むしろ国際空港として関空が競うべきは羽田空港や成田空港だ。関西エアポートによる一体運営によって3空港の全体最適は図られており、関西全体の発展を考えれば地域間の「コップの中の嵐」のような争いに意味はない。
訪日客の人気が高い兵庫県の姫路城やリゾート化が進む淡路島は神戸空港からアクセスしやすい。関空とうまく役割分担を果たせるはずだ。
空港だけ活性化しても仕方なく、地域ごとの受け入れ態勢を充実させ、持続可能な地域づくりにつなげていくことこそが課題だ。