関空、神戸の新飛行ルート議論大詰め 大阪万博契機の航空需要拡大取り込みへ準備着々
新ルートの導入で関空は1時間当たりの発着枠は45回から60回に拡大する。ただ、航空会社関係者は「空港施設の人手不足を解消しなければ混雑する時間帯ですぐ増便するのは難しい」と懸念する。コロナ禍の時期に地上支援業務(グランドハンドリング)の従業員の離職が相次ぎ、訪日客の急回復に人手不足が解消されておらず、利用拡大にはこうした課題への対応も求められる。
一方、神戸空港は新ルートの導入で1日あたりの国内線発着枠が80回から120回になる。令和5年度の総旅客数が344万3千人に達し、コロナ禍前を超えて過去最高を更新した。
神戸市空港整備課の担当者は「国際化などの動きに追い風だ」と歓迎する。万博を控え、神戸では来春に入国審査場や税関検査場を備えた新ターミナルが完成予定。これに合わせて国際線チャーター便の就航が解禁され、その5年後めどの定期便就航もにらみ、国際化に踏み出す。
■伊丹も変貌 進む3空港の役割分担
関西3空港を平成30年4月から一体運営する関西エアポートは3空港の役割分担を次第に明確化している。
まず変貌を遂げたのは大阪(伊丹)空港だ。東京-大阪のドル箱路線を中心とした国内線基幹空港としての機能を強化。約50年ぶりというリニューアルは30年4月に一部が先行オープンし、コロナ禍にあった令和2年8月に完了した。飛行機利用者以外も立ち寄れる一般エリアにはワイン醸造所併設のワインバー、理容室、雑貨店から乳児が利用できる遊戯施設がそろい、さながらショッピングモールのような充実ぶりだ。かつて騒音公害の象徴だった側面もあったが、地域との共存に向け「開かれた空港」も目指す。
一方、関西国際空港第1ターミナル(T1)では開港以来最大規模の改装が進んでいる。最大の目的は訪日客の増加に備え、海外からのゲートウエー機能の強化だ。開港当初の国際線の受け入れ能力は年間1200万人だったが、国際線保安検査場の集約化など主要機能を整備し、空港全体で年間4千万人に大幅増強する。