美祢線、鉄道復旧なら58億円以上 再開まで「15年程度」 JR西日本が試算
昨夏の大雨で被災して全線運休が続く山口県西部のJR美祢線(46・0キロ)について、沿線自治体とJR西日本でつくる協議会が28日、バスなどへの転換も含めて復旧の在り方を話し合う新部会の第1回会議を美祢市で開いた。JR西は、鉄道で復旧させるには58億円以上が必要との試算を報告。運行再開までに15年程度を要する可能性も示した。 【地図】JR美祢線 会議には美祢、長門、山陽小野田の沿線3市と県、JR西から課長レベルの5人が出席。冒頭を除いて非公開で協議した後、部会長に就任した中島紀子・美祢市地域振興課長たちが報道陣に協議の内容を説明した。 それによると、JR西は鉄道で復旧させる場合には、流失した第6厚狭川橋梁(きょうりょう)や、崩落した盛り土や線路の復旧などに58億円以上を要し、工期は5年程度と報告。10年と見込まれる県の厚狭川改修工事を待って復旧工事に入るため、運行再開には15年程度かかる可能性があるとした。10月の次回会合までに国の補助金受給の可否も調べる。 今後は住民アンケートや、沿線でバスを増便して公共交通の利用者が増えるかを探る実証実験をした上で、鉄道存続とバスなどに転換した場合の長所と短所を調査し、来年5月の協議会の定期総会で検討結果を報告するスケジュールも決めた。 美祢線は2010年の豪雨でも被災し、JR西と県が13億円をかけて復旧させた。今回の復旧費の試算について中島部会長は「10年の豪雨の4倍以上の金額。被害が甚大と認識した」と語った。 今回は23年の梅雨の大雨で被災した。JR西は利用低迷などを理由に「単独での復旧は非常に難しい。仮に復旧させても単独での運行は困難」と主張。今年7月にあった協議会の臨時総会で、鉄道と鉄道以外での復旧の双方を検討する新部会の設置で合意した。
中国新聞社