同じ「年収500万円」でも30年前と今では【手取り額】が全然違う
手取り額に影響する各種控除を「30年前」と比較
所得税や住民税の負担を軽減するために設けられている控除ですが、30年間で廃止された控除も手取りに影響を与えています。 平成の間に廃止された控除で代表的なものは、以下の控除です。 ・年少扶養控除:16歳未満の扶養親族に対する控除が廃止 ・配偶者特別控除の加算分:配偶者の収入に応じて加算される配偶者控除が廃止 年少扶養控除が廃止されるまでは、16歳未満の子ども1人あたり所得税で38万円、住民税で33万円の控除が受けられていました。 しかし、現行制度では16歳以上にならないと扶養控除が受けられません。 そのため、子育て世帯では、30年前と比較して課税所得が高くなり、結果的に手取り額が減少します。 配偶者特別控除は、基本額となる38万円に上乗せして加算できる制度でしたが、2004年に廃止されました。 以上から、所得税や住民税の負担を軽減する控除も廃止されているので、税負担が重くなり、結果的に手取りが少なくなっているといえます。 では、実際に30年前と今とで手取り額にどのくらいの違いがあるのか、確認してみましょう。
年収500万円の手取り額
年収500万円の場合、30年前と今で負担額がどのように異なるのか確認しましょう。 まず、年収500万円の場合、給与所得の金額は356万円になります。 財務省が調査した2023年度の国民負担率を見ると、租税負担と社会保険負担は以下の通りです。 ・租税負担:28.1% ・社会保険負担:18.7% 課税所得356万円のうち、実際の税額を計算すると以下の通りになります。 ・租税負担:356万円×28.1%=約100万円 ・社会保険料負担:356万円×18.7%=約67万円 税金や社会保険料を合計すると、約170万円の負担額となりました。 つまり、年収500万円であれば、手取りは約330万円となります。
年収500万円の「30年前」の手取り額
年収500万円で30年前だと、手取りがいくらになるのか計算しましょう。 あくまでシミュレーションなので、給与所得控除は同額で計算します。 財務省が調査した1993年度の国民負担率を見ると、租税負担と社会保険負担は以下の通りになります。 ・租税負担:24.8% ・社会保険負担:11.5% 課税所得366万円のうち、実際の税額を計算すると以下の通りになります。 ・租税負担:356万円×24.8%=約88万円 ・社会保険料負担:356万円×11.5%=約41万円 税金や社会保険料を合計すると、約130万円の負担額となりました。 つまり、年収500万円であれば、手取りは約370万円となります。 同じ年収でも、30年前と今の手取りを計算すると、このように違いが出ます。