ロッキード事件を捜査した“カミソリ検事”堀田力氏が衝撃告白「P3C関係のやつは聴くなという、それが唯一の、尋問について私どもが受けておった命令です」
当時の特捜部検事が詳細に証言
「P3C関係のやつは聴くなという、それが唯一の、尋問について私どもが受けておった命令です」 【画像】「聴くな」と命令されたP3C ロッキード事件の捜査に特捜部検事として携わっていた堀田力氏の口から衝撃的な証言が飛び出した。 今年5月に行われたインタビューで、この証言を引き出したのは、ジャーナリストの村山治氏と奥山俊宏氏。ともにロッキード事件の真相を追い続けてきた。 なぜ、この証言が衝撃的なのか? まず、P3Cとは何かを説明しよう。 P3Cは現在も日本の海上自衛隊に配備されている哨戒機である。アメリカのロッキード・マーティン社が製造しており、1977年に自衛隊への導入が決まって以来、日本政府は1981年から97年の間に101機を購入、その合計額は1兆円超に上る。P3Cの主な任務は、日本近海を航行する潜水艦や不審船舶の監視である。ロッキード・マーティン社は1994年にロッキード社とマーティン・マリエッタ社が合併してできた会社で、元々P3Cの開発・製造をしてきたのは、ロッキード社。1970年代、航空機メーカーであるロッキード社は自社製品を売り込むために世界中で裏金を政府高官にばらまいた。 日本では、およそ30億円が当時の田中角栄首相をはじめとする日本の政治家や高級官僚に渡され、その金を受け取った彼らはロッキード社が製造する旅客機トライスターやP3Cの購入に便宜を図ったのではないか、という疑惑が1976年に浮上した。それがロッキード事件である。
十分に解明されなかった、P3C疑惑
つまり、ロッキード事件には、トライスターとP3Cの二つの核がある。そして、後々の購入規模からも、賄賂と見られる裏金の額からも、事件の本丸と見られていたのは、P3C疑惑だった。しかし、トライスターをめぐる疑惑に関しては、田中角栄をはじめ複数の政府高官が逮捕・起訴されたのに対し、P3C疑惑は十分に解明されなかった。 村山治氏や奥山俊宏氏をはじめロッキード事件を取材してきた記者の多くは、その理由を事件の捜査にあたっていた東京地検特捜部がトライスター疑惑の証拠固めに手いっぱいで、P3C疑惑には手が回らなかったためだと考えてきた。