「まだタイミングがうまく取れていないから、ミスショットが多い。これからもっと打席というものに慣れていかねばならないだろう」というのが、ゴメスのコメント。 　ただ、ボールスリーまでになる打席が、2つあって、そこでは低めの変化球に釣られることはなかった。本人も、「今日は、ボールをたくさん見れたのがよかった」と言っている。今のところ外国人にありがちな悪球打ちは見られない。 　関川打撃コーチにも話を聞いたが、「しっかりとバットは振れている。横の揺さぶりや変化球にもついていける。ただ、もっと対戦、打席が必要だろう。痛めた膝が、こういうゲームを続けていく中で、どういう状態でハリが出てくるかも心配だけど」と語っていた。 　フリーバッティングでは、メジャー経験のある打者らしく、右方向から順番に打ち分け、最後にフルスイングを数本すると、さすがのパワーを感じさせる打球がフェンスを越えていく。しかし、ファームのゲームから続けて4試合という実戦の中では、まだ首脳陣を安心させる姿は見せてくれていない。和田監督らスタッフとしては、できる限り、傾向と対策をオープン戦の中で見つけておきたいのだろうが、その本来の潜在能力を見極めるには、あまりに時間がない。膝を痛めペースダウンした以上、ぶっつけ本番になるのは、仕方がないことかもしれないが、必要と判断すれば躊躇せずに早急に手を打たねばならないだろう。 　もし、日本流の配球の読みというもの必要なら、それも教示しておかねばならない。阪神関係者の一人は、「そのためにオマリー（打撃コーチ）がついている。ゴメスは配球は読まない対応型らしいが、たとえば、追い込まれるまでは、このボールには手を出さなくていい。逆に、このコースだけを狙えというようなアドバイスを送るかもしれない」とも言う。 　鳴尾浜、甲子園で、何日間かゴメスを見た掛布DCも「後ろに、もう少し重心を残すことを意識しないと、外の変化球への対応が難しくなるかもしれない」と、危惧していた。そういう打撃フォームへメスを入れる必要も出てくるのかもしれない。いずれにしろ「4番・一塁、ゴメス」の成否が阪神の浮沈の鍵を握っているのである。 （文責・本郷陽一／論スポ、アスリートジャーナル）