【独占】今日2冠挑戦!総合格闘家・堀口恭司がUFC挫折を味わった米国金網へ挑戦する理由とは?
そして「使命を感じる。他団体の代表を倒しているし、自分がやるしかない、という気持ちがある」という使命感。再び舞い戻った米国の金網は、堀口にとって特別な場所なのだ。 「昔に比べて日本の格闘技界は盛り上がってきたでしょ。僕が最初にRIZINに来たときは会場もシーンとしていましたから。天心に自分。メイウェザーが来て、世界中の格闘家がオレも行く、オレも行く、となっている。メイウェザーと天心とのエキシビションで、あれだけの大金が動いた。“凄いね。オレもそうなりたいね。もっと盛り上げないとね”となりますよね。RIZINの知名度も上がった。天心のブランドも世界的になった。コナー・マクレガー(UFC2階級王者)がエキシビションマッチをRIZINで戦いたい、とSNSで発信していましたが、“オレもエキシで大金稼ごうかな”と思ったんでしょ。ガチだと、どっちが勝つかわからないですからね。だから今は地元を盛り上げたい。そのためには、みんなを巻き込まないとダメ。面白い試合。こいつには勝てないだろう、という試合でしっかりと倒すこと」 だからこそ…負けられない試合である。 ベラトールの次に描くビジョンもある。 「2、3年は、日本を盛り上げたい。その後、やりたいことをしたい。例えば、もう一回、UFCとか、ありだと思う」 あれだけ嫌な思いをしたUFCへの再挑戦。そして日本上陸を果たしたシンガポール発の勢いのある格闘技団体「ONE」との共闘、交流戦にも興味がある。 「競合がある方が盛り上がる。両方がいいところにきたら組んでやればいい。ファンも見たいカードが出てくる。強い選手と強い選手がやればいい」 プロとしての矜持だ。 「格闘家なんだから、挑戦は受けろ! 逃げないでやれよ、と言いたい。相手を選ぶ選手が多いんです。拒まずにやったほうが盛り上がると思う」 だが、辛いことに日本人ライバルが出てこない。 「もう、どのチャンピオンも倒しちゃっているんで」 だから天心とのキックルールの試合も受けた。通常は66キロほどある体重を8キロ減量して天心戦に挑んでいる。「まあ、そんなにしんどくなかった」と笑うが、「負けているんで、もう一回あっていい。キックルールでね」と、天心との再戦にも意欲がある。 次はMMAルールでやりたいのでは? 「MMAはいじめになっちゃう(笑)。できるならキックでやってやりたい」 日本で再びエキシビションマッチを戦うことを公言しているメイウェザーの対戦相手として堀口の名前が挙がっても不思議ではない。だが、天心が“瞬殺”されたように堀口も体格差という大きなハンデを背負うことになる。しかも、ボクシングルールとなれば、なおさら勝ち目は薄いだろう。だが、堀口は逃げない。 「メイウェザー? そうなればちょっと考えますが受けるしかないですよね。断るのは失礼。それはマクレガーであっても同じですよ」 プロフェッショナル総合格闘家、堀口恭司――。 しかし、プロを実感する瞬間は「あまりない」という。 「好きなことで飯が食えているだけで幸せ。それでファンの方が支持してくれるんですから、心からありがとうございます、という気持ち。5歳から空手をやって、ずっと勝負の世界で生きている。プロというよりも、ライフスタイルの中に勝負の世界が入っている。これはずっと変わらない」 その勝負の世界の魅力とは? 「わかりやすいところ。勝ち負けがハッキリとしている。そこが面白い。人よりも努力をした人間が勝つんです」 だからこそまるでサムライのような壮絶な覚悟をして戦いの場所へ向かう。 「いつも負けたら辞める。それは、どこかで思っている。それだけ本気でやっているので」 まもなく運命のゴングがニューヨークで鳴る。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)