円買い優勢、中東懸念でリスク回避-対ドルで一時147円台半ば
(ブルームバーグ): 8日の東京外国為替市場では円が一時1ドル=147円台半ばまで上昇。前日の海外市場で中東情勢の緊張からリスク回避が強まった流れを引き継ぎ、円を買い戻す動きが優勢となっている。
マネックス証券の債券・為替トレーダー、相馬勉氏は「リスク回避の流れが優勢だ」と指摘。9月の日米金融政策決定から先週末の米雇用統計といった大きな経済イベントを通過し、市場の関心が中東情勢に向き「リスク管理の観点から米雇用統計後の円売りポジションを軽くする動きになっている」と語った。
一方、中東情勢悪化を受けた原油価格の上昇は、原油輸入の中東依存度が高い日本の円売り需要を増やす。マネックス証券の相馬氏は「原油高は日本の貿易収支の悪化につながるため円売り材料でもあり、リスク回避だけでは片付けられない問題だ」と述べた。
円相場の先行きについて同氏は、11月の米大統領選が視野に入る中で「145円を挟んだレンジを形成しやすい」と予想。140円よりも円高水準ではドル買い需要が強い一方、150円を超える円安では介入警戒感が強まりやすいと言う。三村淳財務官は7日、足元の円安に関して「投機的な動きを含めて為替市場の動向は緊張感を持って注視していく」と述べていた。
朝方発表された8月の毎月勤労統計調査(速報)では、パートタイムを除いた一般労働者の基本給が過去最高の伸びとなったが、市場はほぼ反応しなかった。
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Daisuke Sakai